カポ 

アコースティックギターで、歌の伴奏するときには必需品だろう。
ソロ演奏であれば、どのキーで演奏するかは演奏者の好みのみとなるが、合奏の場合、例えば♭系のキーでの演奏の場合、カポがないと開放弦を活かしたバッキングというのは不可能だ。これを自在に変更するためにカポは便利だ。これがカポの最もスタンダードな使い方と思う。
もっと積極的に演奏技術、というか音色のための一道具つとして使うこともある。カポを5フレット以上につけると、音域があがり、とてもブライトな音となる。この音色は軽やかなラグタイムなんかにマッチする。また2フレット等に使用するのは、ひとつはゼロフレットの音と通常の押弦の音の違いを少なくする効果がある。1フレットでなく2フレットにするのは、奇数にカポをつけるとポジションマークが勘違いしやすいということもあると思う。この音の違いは、とても微妙だが確実にあって、楽曲の雰囲気がずいぶん変わるのを実感している。ただ、そのカポによる音色の変化は、この開放弦のナットかフラットかということの他にも、以下のような音色を変化させる要因があって、それぞれの複合的な効果で音色が変化しているとだろう。
 ●キーの上げ下げによる感覚の違い
 ●フレットの違いによるイントネーションの違い
以上、このごろ自分としては使用頻度が下がっているが、時々さわると新鮮な感覚がある。
カポは実にたくさんの種類が売られている。ちなみに自分はゴムのものが好きでない。つけるときに弦を横方向にずらしがちで、音程に影響がでることがあるからだ。だからゴム製のを使ったときは、付け替えの際妙に力んでしまう。だけど価格としては、一番安くて気軽に入手できる。本当にたまにしか使わないのであればこれでも十分かと思う。

変わり者としては、まずスライダーカポ。
これは取り付けのためのネックを挟む部分がローラータイプになっていて、演奏の途中でもカポのフレット側を浮かせるようにしながら他のフレットにすばやく移動することができるものだ。曲のヤマ場で半音とか1音とかキーがあがっていくなどのケースでは重宝する。
でもあまりに使うと、たとえば、「転調しても常にCのフォーム」なんてことになりかねず、音使いが単調になってしまう。使い方にもセンスが必要だ。

パーシャルカポも面白い。
普通カポは6弦すべてを押さえるが、パーシャルカポは、3本とか、一部の弦のみ押弦するもので、例えばAのローコードを抑えた状況に取り付けたりする。解放弦の音階のみ変化をつくり、カポを取り付けた以上のフレットでは、通常のギター運指で演奏できるというところがメリットだ。プロの方では、自分は、AKI氏、ステファンベネット氏の使い方が秀逸と思う。
その他にはこの応用版として、指で抑えた形を作るカポとかもある。パーシャルカポと同じ発想だろうが、こちらは更にいろいろな形が可能だ。
こういったカポはある場面では大変重宝するだろうと思うが、いまのところ「それを使ったためにすごいすばらしい曲になった」というのを自分は知らない。(自分が知らないだけ?)ひょっとしたら、コロンブスの卵的な使い方が見つかるかもしれないと思うが、要するにそれなりのセンスが必要であるのと、チューニングを変えるという意味合いにおいては、そんな特殊なカポを使うくらいであれば、オープンチューニングを使ったほうがいいとの判断になるのだろう。