みんなの意見は案外正しい 読了

『みんなの意見は案外正しい』ジェームズ・スロウィッキー著読了。
名著で、文庫本になっているとのことで購入して読んだのだが、
2004年出版ということで、古さを感じる内容かもな・・・と
ちょっと心配しながら読んだ。
しかしまったくそんなことはなく、大変面白かった。


「みんなの意見」すなわち、「集合知」だが、
これらが力を発揮する(正しい意見に近づく)には、
「みんな」のそれぞれに以下の条件が必要とのこと。
  1.多様性
  2.独立性(自律性)
  3.分散性(個々の権限)
で、この条件がそろった上での
「みんなの意見」は、ほとんどのケースで
「専門家の意見」以上に正しい結果(予想、分析)
にたどり着くとのこと。


なかなかすごい。


違った言い方もしていて、
似通った(すなわち多様性、独立性が薄い)
専門家のグループより、
そこに、素人や新人、移籍者が入ったグループの方が
はるかによいグループになりえるとのこと。


こういったことは、ちょっと信じられないところも
あるのだが、自分の廻りのことを思い出してみると
確かにそうかもな、とも思る。


で、あとがきとして翻訳者が記載していることが、
途中、読みながら自分が思っていたこととぴったり
重なった。


1つは、この日本語翻訳の本の題である
「みんなの意見は案外正しい」
というのは、すばらしく、この内容にマッチしている
ということ。
「案外」というところが味噌で、
集合知のすごい叡智がいろいろ紹介されているのだが、
著者は、それを非常に慎重に、疑い深いといってもいい
くらいの態度で、書いている。
「絶対正しい」ではなく、「案外正しい」。
このトーンが「あるべき態度」を示してくれていると思う。
この慎重な態度が、読んでいる方に、
「自分の周りではどうだろう」
という自分なりの思索を促してくれる。


そして、この集合知のすごいところを
理解するとともに、合わせて思いが至るのが、
「なぜそうなるのかが、説明できない」
という点。
これだけすごいのだから、組織的に利用できないか、
と思ったりするのだが、そう思ってみると
「実用に持って行くのは、かなり難しい」
ということも思い至るもの。


ただ、それについては、
  1.多様性
  2.独立性(自律性)
  3.分散性(個々の権限)
の3つが大事、ということで、
収斂されるのだろうな、とも思う。


1.自分の置かれた環境を大切に
2.自分なりの視点を大事に
3.勇気をもって意見していく
ということは、
「社会のために、案外必要」、
ということかな。


<去年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20121017

<目に入ったニュース>

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