自分のすべてを出し切ること

プロフェッショナルの仕事の流儀
水産食品加工船ファクトリーマネージャー 吉田憲一氏


かっこいい人だった。
そしてなんともチャーミングな方だ。
現場を仕切るマネージャーなので、大変厳しい
表情が印象的なのだが、そのなかから、
とてもヒューマンな、というか浪花節的というか、
そういうものが伝わってきた。
(スポーツマン的な茶目っ気みたいな感じ・・・)
ご本人は、現場のボスとして、外国人を
何十人も束ねているのだが、
テレビで、
「Mr.YOSHIDAは最高のボスだ」
と部下がいっているのが
流れたが、確かに、こういうボスなら、
ついていきたいと思うだろう。
部下をとても公平に、そして、
信じていっしょに仕事をしているのが
かっこいいのだ。


吉田さんは、その経歴のなかで、
左腕をその船内工場のなかの事故で失っており、
たいへん厳しい生き方をなさっているのだが、
ご本人が、
「そのことを同情されたくない」
とおっしゃるとおり、
腕がどうこうではなく、この方はリーダーに
なるべくしてなった方であることを納得する内容だった。


その方の言葉で印象的だったのが、
・ずるをしない
・100%は教えない。(自分で考えさせる)
そして、
・自分のすべてを出し切る
ということ。
自分は最後の言葉がとても響いた。


テレビのなかでは、
ご自身の右腕部下のNo.2が体調不良で
仕事を休まねばならなくなりて、
29歳の目をかけていた若手を
その代役として大抜擢しなければならない
状況が紹介されていた。
No.2の役目は、24時間操業において、
吉田さんが睡眠をとる時間、
吉田さんに代わって、工場の操業、
つまり食品加工品の品質を保証する
という大変な仕事だ。


だから、本当に大抜擢なのだが、
その若手は画面でみていてわかるくらい、
「必死」にやっているのが伝わってきた。
10日以上うまく勤め上げて大丈夫かな
と思ったところで、トラブルが発生する。
品質をキープするための
水タンクが計器故障で水がなくなって
しまったのだ。


結果としてみると、彼は
「現場を守りきれなかった」
ということになる。


本当は、吉田さんを起こして
助けてもらいたいという気持ちもあった
だろうと思う。
工場のラインでは、ランク落ちの出力を
出し始めてしまっており、
止めるのか、続けるか、
続けるならどうするのか、
不具合部の復旧をどうするのか、
そういう判断が一気に集中し、
「泣きたい状況」であるのが
伝わってくる。
(自分も似たような経験は少なからずあるので、
 大変共感を覚える・・・・)


彼は、工場を止めず、
まず現場の不具合箇所を改修、
そして、残念ながら、その間できてしまった
ランク落ちの品を慎重に仕分けする、
ということを、黙々とこなした。


そして吉田さんが現場に戻ったときに、
そのトラブルの報告。
とてもつらい報告だっただろう。
吉田さんは、現場でざっと報告を聞き、
一回り確認のあと、マネージャー室で
緊急ミーティングが開いた。
結果は、100万円以上の損失だ。


詳細報告を聞いた後、吉田さんは一言、
「OK、わかった。○○、休め」


で、その会議は解散となったのだが、
その後、席を一緒にはずしたテレビレポーターに
「いや〜、○○よくやってますよ。大丈夫です。」
と、一言。
テレビレポーターはそれを聞いて、
「じゃ、それを何か言葉で言ってあげないのですか?」


「いや、あいつら、オレの顔見れば、
 全部わかってますから」


!!  なんてかっこいい!!


こういうボスについていきたい、
という外国人労働者の気持ちに自分もなってしまった。


「自分のすべてを出し切る」
吉田さんはそれができていたことを
理解したのだ。
だから、よくやった、ということだろう。
間違いなく、大抜擢の彼は、この後更に
伸びたことは間違いない。


仕事でも趣味でもなんでもそうなのだが、
出し惜しみせず、
「今の自分のすべてを出し切ること」
というのは至言だ。


「すべてを出し切った」という思いがあって
初めて、自分の出力は自信がもてるし、
仕事、趣味も楽しくなってくる。
自分は
「楽しいから、すべてを出し切るようになる」
のではなく、
「すべてを出し切ってみると、それが楽しくなる」
という言い方が自分には、しっくりくる。


プロフェッショナルとは?
という質問に、吉田さんは、
「仕事は結果がすべて。それに責任がもてるかどうか」
と答えていた。
これは、
「今考えられるすべてを自分の出力に込められたか。
 それを自信をもって宣言できるか」
ということと自分は理解した。


自分も、すべてを出し切るつもりでいこう!!


<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070422
<ギター趣味人>
http://guitar-shumijin.g.hatena.ne.jp/y1kirihara/20080427
<目に入ったニュース>
・「シリコン使用量100分の1」薄膜型太陽電池22年に量産 三洋、計画2年前倒し
 三洋電機は23日、原材料のシリコンの使用量を大幅に抑えられる「薄膜型」と呼ばれる太陽電池の量産化を、当初計画より2年前倒しして平成22年ごろに始める方針を明らかにした。欧州を中心に急拡大する市場に対応する。
 今月、岐阜事業所(岐阜県安八町)に設立した太陽電池開発センターを強化。今後3年間の投資額を当初予定の60億円から75億円に引き上げ、技術者の拡充も早期に進める。島根県雲南市の工場などで生産ラインの新設も検討している。
 太陽光を電力に変換する効率が最大14%と世界トップ水準の製品の開発を目指し、家庭用電気料金並みの発電コストを実現させるという。
 薄膜型は、現在主流の太陽電池に比べてシリコン使用量が100分の1程度で済むため、製品価格が大幅に下がるのが特徴。
 太陽電池で国内トップのシャープは21年度に薄膜型の専用工場を堺市に稼働させる。三洋は太陽電池を経営再建に向けた中核事業に位置付けており、シャープに対抗する狙いもある。

・貿易相手国、2年連続で中国が最大
円高円安は、アメリカばっかりだが、
 EU、中国との関係もきちんと、理解しておかねばと思う)
消費者庁を創設、09年度から…首相が正式に表明
(どんなものなのか、いまいちピンとこないが、ちょっと気にかけておこう)

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