スタッフォードSAG880

その後、30歳台前半で買ったギターがスタッフォードSAG880という機種だ。
当時長崎に住んでいたのだが、近所にアマチュア演奏家に演奏させてくれる喫茶店兼食堂兼旅館という場所をみつけて、そこで年に数回だが演奏をさせてもらうようになった。そこでの演奏の為に、最初からピックアップがつけられている、いわゆるエレアコがほしくなったのだ。予算は10万円。
散々探したが、どうしてもいいと思ったのは10万を超える。それにそのころ1990年代半ばだが、まだドレッドノート型のギターつまり、コード弾き(というかピック弾き)用のギターが主流で、指弾き用といえるのは、あまり見かけなかった。
もちろん、まったく無かったわけではない。例えばマーチンではコンパウンド弦を張るギターだってある。
しかしこのころ自分の目は、6桁を超える値札は自動的に見えなくなっていた。
気長に探そうと思っているうち、旅行先では必ず楽器店をのぞくようになっていた。で購入したギターはゴールデンウィークの長期連休中に、家族で九州内を旅行していて熊本で見つけたものだ。実は同じ機種のギターを前日、移動途中の福岡で試奏しており、自分としては「非常に悪い評価」で没にしていた。従い店員さんに薦められたとき、
「これは福岡で弾いたけど、自分は好きじゃない」
と一度断った。しかしながらどうしても弾いてみてくれというので弾いてみると確かにいい音。ピックアップを通した音も及第点。価格は8万円ということだった。買える。そこで、その店員さんにいろいろ話を聞いてみた。このギターはその機種が出始め他ばかりのときの1本で、のシリアルナンバーは41だった。つまりその機種の41本目のギター。メーカーでは、ある機種を作るとき最初にしょぼくしてしまうと、当然ながら「悪い評価」が定着してしまい後が売れなくなる。だからメーカーとしては量産品でも最初の方のは気合をいれて作る。最初100本くらいは、少し価格上つりあわなくてもいい材で作る、とのことだった。
本当かどうか、眉唾だ・・・と思ったが、まあ自分の耳で確認して納得したし・・・ということでそのギターを購入した。
このギターは弦長が650mmではなく、636mmで少し短い。そのためフレット間が少し狭く、また弦の張りも若干弱く感じられる。つまり押さえるのが楽なのだ。現在では、本当に弾きやすい手工品のギターを弾いてみて知っているので、これでもまだ押さえるのが大変だ、と思う様になっているが、そのときはその前のW20があまりにきついギターだったので大変楽になったと感じた。これはその後3年くらいメインギターだった。
長崎にいたときは、友達と2人でオリジナル曲を合奏していた。2人趣味はとても違っており、お互いそれを認識していたのだが楽しかった。ギターの音色はAD5というアコギ用エフェクターを使って、コーラスをかけて弾いていた。