■20200815(土)#216クラスタフリーコンサート

お盆の日。前回7人で今回も少ないだろうな、と思っていたのだが、行ってみると12人。 「お盆休みでの帰省をかんがえていたのだけど、今年は控えた」

という方がいて、15人にはいかなかったものの、そこそこの入りになった。よかった。 以下、簡単ですが、いつものレポートです。 演奏者、曲名は、クラスタHPから頂いております。マスター、ありがとうございます。

(N:ナイロン弦、S:スチール弦、U:ウクレレ

・伝説の三鷹まご工房さん 三鷹市(S) 陽気な日曜日、The Entertainer、Angie

本当に久しぶりの再会。ひげがずいぶん伸びている点が昔と違っていたが、そうであっても、以前のまごさんとまったくお変わりないご様子であった。第1回から連続50回フリーコンサートに出演なさっていて、最初のころのクラスタの超常連さんだが今回のフリーコンサートについてはご本人曰く、「12年ぶり」とのこと。

自分もずいぶん昔からフリーコンサートの通っていたので、まごさんの演奏は、(さすがに細部までは思い出せないが)オールドテイストのラグタイムがすばらしかったのを覚えている。で、今回ひさしぶりなので、たのしみにしていたもの。

さて、その演奏だが、中川イサトさんの陽気な日曜日、スコットジョプリンのエンターティナー、そして昔々のアコギインストの定番のアンジー

MCで、大学時代にキッキンミュールのギター譜やスコットジョプリンの楽譜を探し回ったりした話などがなされていたが、自分もそういう年代なので、とてもよくわかる。

ギター演奏もまさしく「そのころの鉄弦でのギターミュージック」の音。

「オルタネイトベース」(とかマールトラビスピッキングとか、あえて古い名称にて)の右手でミュートした親指での低音パートが実に軽快なラグタイムは、今聞いてもごきげん。マイク取りのタコマのギターの鳴りもグッド。

というか、昔よりお上手になったようにも思える。

で、思い出したが、ダラスラグ、セントルイスティクルとか、まごさんは、いろいろ十八番があったはず。

軽快なラグギター、また是非聴かせていただきたい。

 

・オシオ豊嶋さん 小金井市(S) ブルームーン、プラスティックラブ、ディスティニー、美しい人生

前回ランニングベースがかっこいい曲が集められていたが、今回もブルームーンが演奏された。これは、前回よりずっとうまくなっている。前はランニングベースを弾きこなすのに集中、という感じであったが、今回はそのベースラインとメロディーの歌わせ方までしっかりなされている感じで完成度が上がっている。

3曲目のディスティニーは、自分が聴いた豊嶋さんの演奏では、今回が一番良い出来ではと思う。

以上、全曲通じて思ったのが右手の安定。豊嶋さんの右手の使い方は、弦をはじくとき、すこし引っ張るような形にみえ、動きが大きめになり不安定な感じあるのだが、今回はその不安定さを感じることなく、むしろその右手の使い方が豊嶋さんの味になっている。

フリーコンサート終了後に木村さんのギターを弾いているのも聴いたのだが、そこでもその印象は同じでうまくなっている。相当練習時間とっておられるのではと思う。

 

・トミー中村さん 新宿区(S) アンジェリーナ、オンリーエリオット

中村さんもお久しぶり。自分はお店に18時5分前についてしまい、1番乗りかな、とおもったところ、中村さんがすでに来て待っていた。(暑いのにすごい。)

以前、手のひらや指の皮膚を傷めて、ギター練習をできない、と聞いていたので、ご様子を聞いてみたところ、やっぱり完治はしていない、とのことなるも、ここ1か月くらいは練習できているとのこと。

さて、演奏だが、1曲目はご自身が一番大事にしているアンジェリーナ。

出だしは、「ゆっくり目で慎重にいこう」という意図が伝わってくるような入り方。

しかし、曲が進むにつれ、そういう思いは忘れられて、一番弾きやすいスピードの演奏になった。頭も手も弾きこんでいるので自然とそういうスピードになる、というのが聞いていてわかる。以前のとおりさすがの演奏でした。

2曲目は、右手の中指くらいで、弦をストロークして出すパーカッシブな音が効果的。1曲目も含め、以前より右手の使い方がうまくなった気がする。

いろいろな曲を練習しているとのことで、今後、またいろいろ聞かせていただきたい。

 

ゴジラ佐々木さん 国立市(N) ドボルザーク新世界より第三楽章

前回に引き続き、山下和仁氏の「新世界」のコピー。前回は第一楽章、第二楽章だったが、今回は第三楽章だ。前回もすごかったが、今回もすごかった。 譜面台を3台ならべ、かつそれを洗濯干しのように、縦長の譜面をクリップでとめて、楽譜を壁にするのは、前回のとおり。 それらを見ながらの演奏だが、「ほとんどスポーツ」、みたいな演奏だった。 ギターのフレットを上から下までまんべんなく使い、しかもそれらが縦横無尽に飛び回る。譜面をみながらではあるが、全身を使って、身体から音がでてくるような演奏。

ただ、難易度が半端ないので、(山下和仁はスピードからして尋常でない)いろいろほころびはあったのだが、勢いで弾き切っていてむしろ痛快。

しかし、こういう大作はどうやって完成に近づけていくのだろうか。

相変わらずごい演奏でした。

 

・断捨離市來さん 調布市(N) カプリッチョー「月光」(鬼束ちひろドビュッシー、「ムーンライトセレナーデ」、ベートーベン、ソル、「月光仮面」、「ミスタームーンライト」「フーテンの寅さん」)

実に楽しい演奏だった。

「月光」をテーマにしたカプリッチョ。すなわち、月光に関係する曲をくっつけて曲にしたもの。

鬼束ちひろの月光。ドビッシーの月光。ソルの月光。ベートーベンの月光、ドビッシーのムーンライトセレナーデ。月光仮面。ミスタームーンライト。男はつらいよ(これは、月光とは直接関係ないが苦しいダジャレで入れていた)、最後「カッコ―」(これも苦しい)の2音で締め。

と、これがが違和感なく1つの曲としてアレンジされていた。これを違和感ないアレンジにできるところ自体、ちょっと驚異的。実に面白かった。譜面にされていたが、これがあると、他の方でも楽しめるアレンジなのではなかろうか(そういう譜面になっているかわかりませんし、難易度は高いと思いますが・・)

また聴いてみたいと思うと同時に、他の方にも聴いてみてほしいです。

 

・優勝箭田さん 国分寺市(N) 秋のソナチネ(佐藤弘和)

自分は、箭田さんの弾く佐藤弘和さん作品のファンなので、今回も大満足の内容だった。

第3楽章まで通しの演奏。第1楽章の繰り返しを省いて15分ちょうど。聴きごたえ十分。

自分は第2楽章の演奏がすき。ギターのコードのおいしい響きを十分に使った曲で、それをとても表情豊かに弾き切っておられた。しかし、ギターの音からして別格。いつも思うが、これだけ弾けると楽しいだろう。

なお、9月のフリーコンサートの前日(金曜日)にコンサートを開くとのこと。今回を含め、クラスタでの演奏してきた曲で構成したコンサートとのこと。ほんと、もう少し近くに住んでいたら、聴きに行けるのだが・・・と思う。コンサートの成功、祈念しております。

 

・霜田さん 横浜市(S) 愛は夢の中に、オールウェイズ、ソートオブユー、ドライブタイム

8か月ぶり、とのことだが、前回の演奏がすばらしかったので、そんなにひさしぶりとは思わなかった。

今回は、新品のメイトンのギターでの演奏。「愛は夢の中に」は、「トミーエマニュエルとマーチンテイラーのデュオ演奏からのコピー」とのこと。まずそれ自体がちょっと信じられないレベルだ。で、「本当にそれ」という完成度。すばらしかった。

2曲目以降はトミーエマニュエルのコピーだが、ドライブタイムなど、ユーチューブでみられる前奏、そして最後の部分のアドリブパートまでコピーされているのがすさまじい。さすがの演奏でした。

で、新しいメイトンだが、1曲目は「以前はナイロン弦で弾いていた」とMCでおっしゃっていて、聴いた感じ、そのスピード感から鉄弦のフラットトップギターで弾くのは、ものすごく大変では、と思ってしまった。(ナイロン弦の方がいいのではと思った)

実際音自体も、右手でバキバキ弾いている感じで、すごい、と思ったのだが、フリーコンサート終了後、そのメイトンギターを触らせて頂いたところ、テンションの柔らかさにびっくりした。こちらについては後述にも記載しているが、ネックの仕込み角がフラットであり、それが左手の押弦の柔らかさに繋がっているのでは、とのことであったが確かにそう思う。改めてメイトンギターを見直してしまった。以上、次回も期待したい。

 

・自分 横浜市(N) Close to you(カーペンターズ)、おまえに(フランク永井)、STAY by my side倉木麻衣)、STAY CLOSE TO ME(トミーエマニュエル)、くちなしの花(渡哲也)

今回は、「ソーシャルディスタンスを保たねばならない」ということは、さておいて、ということで、「そばにいてほしい」をテーマに。1曲目、Close to youはあなたのそばにいたい、ということだが、実は歌詞を読むと、スターの方のそばにいたい、ということで自分は「親密な方にそばにしてほしい」としたテーマとはちょっとちがっていたかな、と思うものだった。で、2曲目は、それを思って、タイトルは「おまえに」だが、「そばにいてほしい」という文言から一番最初に頭に浮かんだ曲をもってきてみた。3曲目の倉木麻衣はあんまりギターアレンジがなさそうな曲かな、と思って選んだもの。4曲目は自分には難易度が高いトミーエマニュエルだが、スローなこの曲なら、なんとかものにできるかな、と思って選んだもの。そして最後に急遽追悼、渡哲也をいれてみた。

その、最後のくちなしの花をねじ込みたくて、5曲になってしまったので、1曲目、そして最後のくちなしの花は、短く区切ってしまわざるを得ずの状況。やってみたらやっぱりちょっと収まりが悪かった。1曲けずってこれをきちんとした形でいれるべきだったかな、と反省。あとはStay by my sideでの高いフレットへの左手の移動が不正確でうまくいかず。これは明らか練習不足。これも反省。

あとは、「弾けるようにやさしいアレンジ」「その分、演奏の表現に気を配る」ということで、演奏自体は楽しくできたので、まあまあ及第点。来月はどんな選曲にしようか・・・

・ウェザー若林さん 府中市(N)  (お天気概況)、雨だれ(リンゼイ)、栄冠は君に輝く高校野球)、夜がくる(小林亜星

自分が聴いた若林さんの演奏での新しい曲としては、高校野球の曲。自分は高校球児だったので、結構思い入れのある曲だ。

で、演奏としては、「もっと歯切れよく」弾いた方がいいかな、と思った。特に、メロディーを立たせるためと思うが、ベース音が弱く抑えられていて、ここは、もっと強くてよいのでは、と思った。

そして、メロディーの方も、そのタテノリのリズムで元気よく弾くともっと曲が引き立つと思う。

・・・・・しかし・・・・・

観客の方からは、「前回(クラスタでの他のコンサート)の演奏がすばらしかった」の声多数。

前回と今回、なにが違うのか・・・。そして、ご本人も前回の方がよかった、と思っている・・・のかな・・・。

 

・コレクター木村さん 狭山市(S) カムトゥマイウィンドゥ、ストレンジガール(以上ピーターフィンガー)

今回のギターは「ダンマッサー」とのこと。こちらについては、コンサート終了後弾かせて頂いたので、後ほど記載。

さて演奏の方だが、前回お聞きした時より、着実にお上手になっている。1曲目については、かなり完成度上がってきており、あとは弾きこみといったところ。

で、自分の注目は2曲目。非常に難しい曲で、数か月前に弾いたときは、木村さんをもってしても、かなりボロボロだったが、これがしっかり聴けるレベルになっている。しかもすごいなと思ったのが、アドリブパートがしっかり演奏されていて、それがちゃんとご自身の音楽になっているところ。アドリブパートは、ピーターフィンガー氏の独特のオープンチューニングを理解してのコード、スケールが頭に入っていないとできないと思うが、これがこの曲のスピードとおそらく変拍子と思うがそれでしっかり表現されていた。すごい。

このままやれば、ほどなく完成するのではと思うが、曲が曲だけにどこまでいけるか・・・。今後、どこまで完成度が上がるか、期待したい。

いい演奏でした。

 

・二宮さん(初) 荻窪(イギル) アルトゥサユルス、(曲名不明)

「ロシア内のトゥバ共和国の民族楽器イギルの演奏」とのこと。加えて、「ホーミー」といっていいものと思うが、「だみ声の中に口笛のような声も同時に出すという超人的な技」(マスターの記載より)も披露頂いた。

まずイギルについては、中国の「胡弓を大きくしたもの」「馬頭琴の本体部分を三線のような革張りの箱にしたもの」とかいう感じ。ちなみに馬頭琴と同様、ネック部に馬のような彫刻はあるのだがかなり小さい。弓は「本来は三日月形の短いものだが、難しいので長いのにしている」とのこと。

調弦はAとD。音は胡弓や馬頭琴系で、馬頭琴同様、足で挟んで固定して、チェロくらいの弦長かと思うので、それくらいの音程。

演奏は、2本の弦でオクターブの連続音から始まり、そこから1つを微小音階で下らせて、ドローン音での変化をだすもの。ホーミーもそうだが、音自体の変化を聞かせるような音楽であった。

で、こういう珍しい楽器だったので、その国でどれくらい弾かれているとか、いろいろな質問が次々とでて、そのやりとりがなかなか興味深かった。

自分としては、「この楽器のこの演奏のどういうところが楽しいのか」、「どこでどれくらい練習しているのか」というのが気になった。この音色で、この音楽だと、近隣をけっこう気にしそうだし、家族からも家で弾かないで、とか言われてしまうかも、と思ったもの。

次回お会いする機会があれば、是非きいてみたい。

 

フリーコンサート終了後

霜田さんのメイトン(SRS808c)と、木村さんのダンマッサーを弾かせて頂いた。

霜田さんのメイトン(SRS808c)

なにしろ弾きやすい。小ぶりのボディー自体、抱えやすいのだが、特筆はフレットの抑えやすさ。ナイロン弦のハード弦、もしくは少し太めのエレキ弦、という感じ。

しかし、更に特筆なのは、そういう弾き心地で出てくる音は、「アコギをしっかり弾いた音」であること。トミーエマニュエルの超速フレーズに合わせているのだから当然だが、音の輪郭を損なわないように、すっきりとしていながら、アコギ特有の音の立ち上がり音の質感がしっかりある。

従い、弾かせて頂いたときにびっくりしたのが、この弾き心地でこの音がでるのか、ということ。いいギターでうらやましい。

木村さんのダンマッサー

ダンマッサー。インターネットで調べると、おそらく100万超の価格がでてくると思う。中古でも50万以下はないかも。(いま調べていないけど、後で見てみよう)

で、上述のメイトンを弾いた直後に弾いた直後に弾いたので、弾き心地の違いをまず感じてしまったのだが、右手に、「ばねのような跳ね返り」みたいな感覚を感じる。で、この跳ね返りが、どれくらいで弾いたらよいか、のガイドみたいな感じになって、自然といい音が導かれる感じ。

で、その弾き心地に従って弾いていくと「張りある音が飛び出てくる」という感じになる。楽しい。音色はそういう感じなので、すごく元気で張りのある音。木の音がでているのだが、本当に乾いた木からでている感じ。すばらしいギター。

 

以上、フリーコンサート後は、こういう名器を弾かせて頂くことが大変楽しい。

 

しかし弊害もあって、自分も1本、ナイロン弦の生ギターが欲しいな、と思って、今週、いくつかギター屋で試奏にいっているのだが(別日のブログ記事参照)、その際、こういうギターを弾いていると、どうしても音の違いがわかってしまって、高価なギターの方に選択がいってしまうということ。結果購入できそうもない状況になる。

自分としては、お手軽に弾き倒せる練習ギターが欲しいな、と思っているのだが、練習ギターだけども、弾いてた飽きないのがいいなあ、と思ってしまう。すると、たちまち、音色の選択がわがままになり、あっという間に予算オーバーで答えがなくなってしまうもの。

なお、一緒におられた、箭田さんが「おもしろいのがあるよ」、との情報を頂いた。とてもありがたいお言葉であり、本当でしたら、別途ご連絡を頂きたく、お願い申し上げます。 ⇒ y1kirihara@gmail.com

しかし、上述の木村さんのようなギターの予算は当然無理ですし、現状、サイレントギターで不満な点があるわけではないので、その意味でもそんなに予算があるわけではありません。(ので、とりあえずまずは話半分で。。。)

 

以上、今回も充実の時間、みなさん、ありがとうございます。

また、よろしくお願いします。