ライバル

NHK仕事の流儀はスペシャル放送で
「最強の二人、宿命の対決〜 名人戦 森内俊之 VS 羽生善治 〜」
楽しくみた。


羽生氏は、25才の若さで前人未踏の
タイトル7冠全制覇を成し遂げた方。


そして、森内氏は、31才で初めてタイトルを獲得し、
その後羽生氏は次々とタイトルを奪われ1冠に。
逆に森内氏は次々とタイトルを奪い、
羽生氏より先に永世名人の称号獲得。


すごいお二人だ。


で、このお二人は同じ年の同期で、
小学校4年生の将棋大会から何度も
戦ってきたお二人とのこと。


「ライバルというのは、こういうものです」
というのを絵に描いたようなお二人。


日本の将棋対局で長い伝統を誇る名人戦の中でも、
今年の対局は歴史に残る名勝負だった。


とのことであるが、本当にそうだったのだな、
というのが、あまり将棋に詳しくない
自分にも画面からひしひし伝わってきた。


「大事な試合ほど大胆に」(森内氏)
と話されていたが、
「本当に美しい勝負」
というのは、結果は勝者と敗者にわかれるのだが、
「この二人でなければ表現しえないもの」
だなと思った。


さて、番組の中でいろいろ
面白いと思ったことがあるが、
羽生さんの方では、特に心に残ったのは
「老いとは?」
という自分への問いかけを
羽生さんがしていたのだが、
その考え方。


30歳を過ぎるあたりで、
タイトルを手放してしまったようなとき、
還暦を過ぎた先輩将士が、
「自分の将棋をさし通すこと」
を目指している姿を見て、
そこから復活の糸口をみつけてきたとのこと。


「経験からくる精神力の強さ。
 ぶれない強さというか・・・
 そういうものだけは、歳とともに
 磨かれていくと思っています」
という言葉、すごく響いた。


自分は
「人間は死ぬまで成長できる」
と思う。(思いたい)
そういったことをまさに
トップで走っている羽生さんが
どう思っているのかの一部を
みれた気がした。


こういう考え方ができると美しいだろうな
と思うのだが、
その羽生さんが対局の最初に浮かべる言葉が
「玲瓏」(澄んで美しく輝く様)
とのこと。
ぴったりだ。


森下さんの方は、
「勝てるようになったのは?」
という問いかけに対して、
「無心で打てるようになった」
と答えている。
この言葉だけだと、ありきたりに聞こえるが、
そのあとの台詞が自分としては
忘れられない。
「無心からでてくる手を打ちたい。
 そういう手の方が、自由な感じがあるというか・・・
 ・・・楽しいんです」


言葉が正確かは覚えていないのだが、
こういうことをおっしゃっていた。


この方は将棋で自分を表現している。


プロの将士だから、「セオリー」
は死ぬほど知っているだろう。
そこから、自由になれるか、プラスアルファを
だせるか、が勝負の分かれ目なのか・・


そして、それをすることを「楽しい」
と感じているといっているわけだ。
この一言、自分としては、
「この方は、本当に強い」
とぞくりとするような感覚を覚えた。


このお二人、これからも名勝負を
生んでいくだろう。


そして、羽生さんが
「ライバルとは?」
という言葉に対して言っていたが、
「みんなで走ったから、ここまでこれた」
という言葉もよかった。


等々、ほんと、いい番組だった。


<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070715
<目に入ったニュース>
・教員採用汚職:不正合格は解雇、本来合格を救済へ 大分
 大分県の教員採用汚職事件を受け、県教委は16日、過去の試験について調査し、不正によって合格した受験者が判明した場合はこれを解雇し、本来合格していた受験者を救済する方針を決めた。
(いろいろ考えること有り。)



><