less is more

演歌のソロ譜面(TAB譜)も、ときどき楽しんでいる。その自分が購入して持っている本のある一冊の中に「千曲川」という曲がある。昔、五木ひろしが歌って大ヒットした曲だ。  
この譜面は、恐ろしくシンプルだ。3拍子で伸ばす音ばかり。はっきりいって簡単ですぐ弾けた。
しかし・・・すぐ弾けたのだが、なぜか面白くなかった。曲らしく聞こえない。ということで、弾かない曲となっていた。
その後ある期間古賀政男氏をはじめとした演歌にはまってしまった期間があり、演歌ばかりを弾いていた。そんな日々のなかで、ふと「千曲川」を弾いてみたら、すごく気持ちよく弾けた。
なぜだろう、と思ってしまい、自分の演奏を省みてみた。この期間、演歌を弾くにあたってメロディを気持ちよく弾こうということに集中していた。すると、だんだん「伴奏を最低限にしたい」と思うようになっていた。最低限の音数で・・・、しかし、その曲の特徴を失わないように・・・そういうことに集中していて、結果として、「本当に、骨となる音だけ、でも、その少ない音に気合を込めまくる」というスタイルとなっていた。
そういう状況で千曲川を弾いてみると、簡単なアレンジなのだが、それで十分だった。かえってメロディー部を自在にフェイクすることが楽しかった。このアレンジで十分だと納得した。  
自分の好きなギタリストのマーチンテイラーは、「弾きすぎるな。音数は少ない方が多くを語る」として 「less is more」 と言っている。わかる気がする。