読書メモ:帝国崩壊;エマニュエルトッド著

めちゃくちゃ面白かった。
2002年リリースで、「世界的ベストセラー」
とのことだが、確かにベストセラーになるだけの本だ。
ヨーロッパの知識人は、こういうのを読んでいるのか、
と納得すると同時に、
アメリカ人もたくさん読んでいるだろうに、
なぜ、アメリカは今の方向性なのだろう・・・
と思ったりもした。


著者は現在「国立人口学研究所資料局長」とのことで
人口学から社会や歴史を読み解いていく。
その分析が実に深く納得がいく。


文明の発展においては、
現在、世界的流れである民主主義は、
それを達成するにあたって、
識字率の上昇、つまり大衆が知識を持つこと
が必要とのこと。
まら、これは、それはそうだろうと当たり前に
思うが、
そうすると、どんな文明、民族においても
なのだが、
受胎率の減少、つまり人口増加のストップ、または減少
が起こるとのこと。

これはへーーーーと思った。
確かに人口データがそうなっていることが説明される。


続いて、ということは・・・・、
人口増加率と識字率の状況を細かくみてやる
と、各国がいまどんなステージにあるか、
特にこれから民主化しようとしている第3世界などは
かなり正確に動静が読めるとのことだ。
また、その過程で、今先進国がどんな道を
通ってきたかも省みてみることができる。


それによると、
どのような文化も民族も
その識字率上昇から、受胎率減少に至るところでは
必ず、戦争とか、革命をくぐっているとのこと。


まさしく第2次世界大戦がそれであり、
共産主義イデオロギー主義)もその流れで
説明されていた。
納得した。


さらにその判断からすると、
今、いろいろ荒れているように見える
イスラム国の混乱は、
もう少しすれば、民主化、そしてテロも
沈静化すると読む。
ここらへんはハンチントンと食い違うわけだが、
自分はこちらの判断に共感を覚える。


他の部分では、「家族」というものが
各民族、国でどのような価値観、構成をもっているのか
ということが説明され、
だから・・・
アメリカってね・・・・フランスってね・・・
イギリスってね・・・ドイツってね・・・
そして日本ってね・・・・
というような説明がなされている。
もう、「目から鱗が涙のように」・・・の状況だった。


さらに、その結果・・・
と、それら国々、つまり世界の情勢が
これからどうなっていくか
一番大きな国であるアメリカを中心とした
「予言」につながっていく。



2008年、アメリカのサブプライムローン問題や
イスラムとの確執といった現在をみるにつけ
「これは実に精度の高い予言である」
と納得せざるを得ない。



これ、県立図書館で借りて読んだのだが、
こういう本は購入して手元においておくべきだよな・・・
としみじみ思った。



最高にエキサイティングな本でした。



<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070318
<ギター趣味人>
http://guitar-shumijin.g.hatena.ne.jp/y1kirihara/20080427

<目に入ったニュース>
今日も・・・時間なし。パスです。

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