現場所長のプロ

今週のプロフェッショナル仕事の流儀は、
建設現場所長の、高橋直夫という方。


サウジの石油精製プラントの建設現場の所長で、
その現場は広さが東京ドーム400個分、
働いている人は7000人とのこと。
すごい現場だ。
ただ、今回の現場については、自分の職種と
近く・・・というか現場については
ほとんど同じといっていい。
なので、親近感を持つとともに、自分が昔
現場所長に鍛えていただいたことを思い出して
しまった。


番組のなかで響いてきた言葉は以下。
(正確であるか?だが)
・トップは現場で太陽であれ
・誰よりも強く成功を信じる
簡単そうだが、実は簡単でない。


テレビでもいっていたが、本当に
「雪崩のように」
トラブルが発生するのが現地なのだ。



/////////////////////////////////
自分が初めて現地において
あるチームの取り纏めに赴任したとき
まだ自分は30代前半だったが、
お世話になった所長、S所長は
厳しいのだが、普段の所作は
「現場のお掃除おじちゃん」
であった。


しかし、実はその「掃除」はおそるべき
観察眼をもってなされている。


朝の「取り纏め者ミーティング」
で十数人が工事の計画等をひとしきり
話し合った後、徐に口を開く。
「○○のところの後ろにある
 ケーブルの残骸はなに?」
担当者の背筋がびくっとして伸びる。
「あそこは三日後に○○の作業で
 干渉するじゃろ。たのむぞな」
こういうことが、
3つくらい、多いときは10数個
矢継ぎ早に質問されるのだ。


「どうして、そこまで頭にはいっているのだ」
若く初めての取り纏めで赴任した
自分としては感嘆するしかなかった。


そんなとき、現場での
年末の飲み会で所長に酌をする
機会があった。
所長は自分に、
「おまえはもっと明るくしろ」
といわれた。
自分は確かにいわれるとおりだな・・
と思いながら、せっかくの機会なので
正直に自分の気持ちをいってみた。
「いや・・・わかってるんですけど・・・
 正直、いろいろ起こるので、怖さ、
 を感じてしまってるんです・・・」
本当に正直な気持ちだった。
明るく振舞った方がいい、ということは
わかっている。しかし、
本当に未熟な自分としては
怖くさを感じてしまい、そういう
表情などできなかったのだ。


するとS所長、一笑して、
『「怖い」か・・・
 それはな、「知らない」ということだから、
 勉強すればいいんだ。勉強してわかってしまえば
 怖さは無くなる。怖がってる暇があったら
 勉強せい。』
そうおっしゃられた。


!!!  納得した。


それから今までにもまして、
必死に勉強した。その勉強は机上ではない
「現場を勉強」した。
頂いた言葉のとおり、
勉強した分だけ、怖さが減ると言うことが
わかった。


・現場で太陽になる
つまり現場で明るくなるためには、
勉強して、怖さを最小にすることなくしては
できないことだ。
そして、
・誰よりも成功を信じる
ということは誰よりも先を見越しての
シミュレーションをしてみた、つまり
先の怖さを見つめようとした、ということだ。


その現地で一生懸命働いた結果、
現場で掃除をしているS所長も
自分と同じように、自分でいうところの
「怖さ」を現地で冷徹に見つけ出し、
現場のみんなのことを思って、
それを朝のミーティングでおっしゃって
いるということが理解できるようになった。


「怖かったら勉強すればいい。
 そうすれば太陽のように明るくなれる」


そのことを思い出した。



<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070129
<ギター趣味人>
http://guitar-shumijin.g.hatena.ne.jp/y1kirihara/20080427
<目に入ったニュース>
出張中なのでパス。

><