学生時代に聴き漁った筝曲

学生時代自分は九州の福岡にいたのだが、前述の中川イサト氏の話もあり、琴や三味線のコンサートがあれば聴きに行こうと決めていて、いろいろ聴きにいった。
心に残っているのは琴の演奏で、故沢井忠夫氏の演奏はすごかった。実は自分が見にいったコンサートで演奏されたのは、伝統音楽ではなく、伝統音楽を消化した上での現代音楽だった。しかし聴きにきていた人の大半は年配の方・・・きっと伝統音楽を聴きにきている方だろう・・・だったので、沢井忠夫氏は、
「現代音楽は、聴きにくいと感じるかもしれません。少し聴きつづけてもらえば、よさがわかります」
などとMCで言っていた。自分にとっては、そんな説明はまったく不要!すばらしかった。逆に自分にとっては、伝統音楽だけであれば退屈していただろう。「伝統音楽の上に、これだけのものが創りだせるのだ」という、「次」をみせられた気がして興奮した。沢井忠夫氏のステージを生で聴けたのは、一生の宝と思っている。
そのほかにも、いろいろ面白いのがあった。
名前は忘れてしまったが、キースジャレットのケルンコンサートを筝でのコピー(!!)していた方を聴いたことがある。会場につくのがちょっと遅れて立ち見になってしまったが、2時間くらいだろうか・・・立っているのがまったく苦にならなかった。あっという間に終わってしまった。すばらしい音楽だった。もちろん伝統的なアレンジで、いかにも日本というのも演奏され、それらもこういった演奏と対比して聴けてとても楽しかったのを覚えている。
そんな経験をしていたからか、学生時代自分のギターでの作曲のモデルは、筝曲だったような気がする。