今オープンチューニングを主で使わない理由 

今度は逆に現在はノーマルチューニングを主に使っていて、オープンチューニングはあまり使わなくなった理由を書こう。2つある。 
まず1つめ。
大学生のころ、30曲くらいオープンチューニングで曲を作ったと書いた。でも、殆どの曲は現在残っていない。自分が面倒くさがりやで曲を譜面に残さないのが原因だが、それだけではない。要するに「残すにたる曲でなかった」ということだ。
当時は、オープンチューニングの響きのよさだけで曲をつくっていて、曲の中で使われる左手のフォームはワンパターン。メロディーはあるにはあるが、「どこからどこが主旋律で、どこからがバッキングかわかりにくい」とか、「なにかの伴奏のような曲」とか聴いてくれた友達から言われた。作ったほうは、そんなことすら考えていないのだが、メロディーをいっしょに口ずさめるようなものの方が聴きやすいのは間違いない。結論は、やはり技術的にある程度のものがなければ、オープンチューニングのアイディアだけで曲を作っていくのは限界がある。
ウィルダムヒルの流行に続いて、多くのオープンチューニングのギタリストがでてきたのだが、自分が自分の曲に対して思ったように、
「オープンチューニングの響きだけ」
と思ってしまうものが少なくなかった。そうすると一段と自分の作ったものも、それと同じように聴こえてきてしまった。

2つめの理由。
アドリブが難しくなってしまうから。 
自分の演奏について、ひとつの目標として「鼻歌を歌うように演奏できたらいいな」という思いがある。しかし、オープンチューニングをつかって曲ごとにチューニングを変えるようなことをしていると、アドリブはできない。当たり前だが、チューニングを変えれば、同じ指使いでも同じ音はでない。オープンチューニングをいくつも使い、それぞれで自在にアドリブをとれるという人がいれば、天才だろう。
オープンチューニングでも自在にアドリブをできるようにするためには、あるオープンチューニングに絞って、すべての曲をそのチューニングで弾くというやり方となろう。ピエールベンスーザンスタイルだ。ピエールベンスーザンは、ほとんどすべての曲をDADGADで弾く。このようにオープンチューニングのうち気に入ったひとつをマイスタンダードチューニングとして持つのであればアドリブもできるだろう。しかし、それが簡単ではないということは、過去の経験から十分わかっている。少なくとも、市販のTAB譜については、まったく使えないし。
で、今は、「チューニングを変えて、独特な響きの(できれば自分だけの)音楽を作りたい」という要求よりも、「できるだけたくさんの音楽に接してみたい」、「頭で浮かんだメロディーを即ギターを通して出せるようにしたい」という要求の方が大きい。よって、ノーマルチューニングで十分楽しめている。
以上の理由で、今はノーマルチューニングを主としてるのだが、ときどきはオープンチューニングを楽しむことも継続していこう。特に作曲のとき、どうしても思ったイメージにならないとき、もしくは、ノーマルチューニングで作った曲をさらに発展させたいが行き詰ってしまったときなど、有効なのは経験している。それと、ピエールベンスーザンのように自分の得意のチューニングが持てたら、本当にすばらしいと思う。
それが簡単でないことはわかっているが、「スタンダードチューニングの他に1つくらいマイフェバリットチューニングを持つ」ということも粋な感じがする。

以上、オープンチューニングについて。

PS
自分の左手の小指は長年ギターを弾いているうちに、若干右手の小指と比べて長くなった。
普通の人よりは短いのだが、自分の右手の小指と比べると左手の小指は長い。長くなった分だけギターを弾くに当たってのコンプレックスはちょっとだけ小さくなっている。