■20210918(土)#229クラスタフリーコンサート

今回も新型コロナを考慮してと、雨がひどかったので、

車で移動。

(雨は、国分寺付近はそうでもなかったとのことだが、

   横浜はかなりひどかった・・・。)

なお、前回はひどい渋滞で困ったのだが、

今日は道路の混み方もそれほどでもなかった。

3連休の初日とはいえ、台風が近づいてきている、とのことで

出歩く方も少なかったのだろう。

 

今回も楽しかった。以下レポートをお伝えします。

なお毎回ですが、出演者情報については、クラスタのHPから

コピペさせて頂いております。ありがとうございます。

(N:ナイロン弦、S:スチール弦、M:マンドリン)

・新宿志原さん 新宿区(N) 最後のトレモロバリオス)、ワルツ3番(同)、ワルツ4番(同)

今日はクラシックギターで、クラシック曲の演奏。

志原さんの鉄弦ビック弾きギターソロのファンの自分としては、

やっぱりそっちの方が聴きたかったな、とか思いながら

聴き始めたのだが、いや、今回は良い方向に予想外。

すばらしい演奏だった。

まず、MCで

「誕生日を理由に新しいクラシックギターを購入」

との紹介があった。

1968年製YAMAHAのGC7(だったかな・・・)とのこと。

ご自身の生まれた年に製作されたギターとのこと。

で、音はよかった。10万円代とのことだが、「あたり」と思う。

 

演奏の方は、以前もクラシック曲を弾かれていたが、

明らかに技術が上がっていると思う。

特に、右手の表現が各段に上がっている。

志原さん曰く、

「鉄弦で音色をいろいろよくしようと努力したことが

 クラシックギターの演奏にもよい方向になっている」

とのこと。

なるほど。(自分も鉄弦ももう少し弾こうかな・・・)

 

演奏に関しての感想は、1曲目の最後のトレモロは、

トレモロの音が、もう少し音量の大小をつけて演奏されれば、

もっとよいのにな、と思った。

トレモロが弾けない自分がいうのはおこがましいのです。すいません。)

 

今回、自分が一番楽しんだのは、ワルツ4番。

特に冒頭からのテーマを弾き切るところが見事。

志原さん、クラシック曲の演奏も、さすがです。

 

ドラクエ板垣さん 習志野市(N) ドラゴンクエストIVより 街、勇者の故郷王宮のメヌエット

今回は、ドラクエⅣ。

「1番手こずっている“街”をチューニングの関係で、一番最初に弾かねば

 ならないのが、ちょっとつらい」

といったことを冒頭のMCでおっしゃっていた。

そういう言葉からもわかるが、

毎回、新しい曲を頑張って仕上げているのを感じる演奏。

 「家で弾くと、なんとか聴かせられると思うのですが、

  ここ(クラスタのステージ)だと、まったくうまくいく気がしなくなる」

ともおっしゃっていたが、この点、同感。

なので、あ、ここはちょっとつまったけど、

本当は家では弾けているのだろうな、とか思いながら聴かせて頂いた。

 

そういうのを特に感じたのが、王宮のメヌエットで、途中の

早いパッセージのところが見事に弾き切っているのに、

さほど難しくなさそうなところが、ぎこちない。

ステージ上で「慎重に弾こう」とか、

「ここはこういう風に」とか、譜面をみながら、

考える余裕があるところの方が、ぎこちなくなってしまう

のではないだろうか、と思った。

こういうところは、家で弾いているときは、

なにも考えないか、曲想を歌う感じになっていて、

スムーズに弾けているのでは、と思う。

ちなみにステージでも、

「もう一回弾ける機会があると、力が抜けて、上手に

 弾けたりする」と思っている。

板垣さんの家で弾いている感じでの演奏、

期待しております。

 

ラグタイム北村さん 藤沢市(M) (マンドリンに関する説明)、セントアニーズリール、テネシーワルツ、オールドディンジャーフィールド

今回は、フラットマンドリンでの演奏。

「フラットマンドリンは、コードが弾けないところが

  ソロで弾くにはつらいところだが、それを単音のメロディーと

   リズムで補っていくところが面白いところ」、

とのこと。で、ウクレレよりマンドリンの方が好き、とのことであった。

こはちょっと意外。

ギターは、コードが弾けることが、

大きなアドバンテージであり、それを体感している

ギタリスト(特に指弾きの方)は、大体ウクレレが好きなのでは、と思うもの。

 

と思いながら聴き始めたが、なるほど、と納得。

コード感を出すのは、うまく開放弦をまぜたり、

メロディーの合間にブロークンコードというか、

単音でのコード音を混ぜながら弾いたりして、

(ちょっとバンジョーっぽい感じ)

実にかっこよかった。

なるほど、これだけ弾けると、ウクレレよりマンドリン

となるかな。

特によかったのは、最後の曲。ビルモンローの曲とのことで、

MCでもあったが、通常は、ブルーグラスセッションで、バリバリの

速弾き合戦がなされる曲と思う。

それをソロで弾いたのだが、実にかっこいい。

たのしかったです。

 

・メリル豊嶋さん 小金井市(S) 君が代、オレンジ#3.7、イッツオンリーアペイパームーン、キングコングゴーズトゥタラハッシ

最初の君が代、「こればかり練習した」とのこと。

一聴して、難しさは感じないのだが、音数をこれ以上でもこれ以下でもなく、

「これが君が代」というように、忠実にコピーされたとのこと。

なるほど。オリンピック、パラリンピックを楽しんだギタリストの鏡です。

 

2曲目からは、中川イサトさんの2曲と、キングコング~は、たしか

ブルースコバーン氏の曲だったかと思う。

オレンジは、「いろいろ毎回工夫している」とおっしゃっていたが、

この曲が好きな自分として、それがよくわかる。

この曲のオリジナルは、ギター2本(最初のバージョンは加えて

フィドルが入っている)で演奏されているが、

それらの2本目のギターのパートも、上手に

取り入れてソロアレンジにしているもの。

この入れ方がとても自然でかっこいい。

(ちなみに、全員演奏後のフリーの時間に、

  ちょっとだけセッションの機会があり、ここで、

   豊嶋さんのオレンジの演奏に併せて、アドリブ

    弾かせていただきましたが、大変気持ちよかったです。)

あと、最後のキングコング~もよかった。これは、

前回よりずっとうまく弾けていたのではと思う。

豊嶋さんの演奏は、前は、うまく弾けるかどうか、であったが、

このところは、如何に表現していくか、といったところが

聴きどころになっている。

よかったです。

 

・ダンシャーリー市來さん 調布市(S) G線上のアリア(ジャックルッシェ版のギターアレンジ)、ボデイアンドソウル

市来さんは、「ジャック・ルッシェ」とおっしゃっていたが、

日本語では、「ジャック・ルーシェ」としてあたった方が、

インターネットでは、ヒットすると思う。

その「プレイバッハ」をコピーしての演奏。

 

これを、ギターでコピーするか?!!

と思ってしまうのだが、気持ちはわかる。

かっこいいのだ。

で、演奏を聴いて、改めて 「気持ちはわかる」となった。

MCでもおっしゃっていたが、

ルーシェの右手の拍の頭にいれる装飾音を

ギターで再現するのが、大変だけど、それをしたかったとのこと。

音はなかなか鳴らし切れていない感じであったが

(超スピードで音を詰め込むため)

市来さんの頭のなかで、「こういう風に鳴っている」

というイメージは、自分は共有してしまいました。

市来さんのアレンジは、他の曲もそうだが、

「弾き切ったら、ぜったいかっこいい」

というものが多い。

この曲は、弾き切るべくしばらく取り組むのだろうか、

それとも、また別のいろいろな曲のアレンジに取り組むのだろうか、

いずれにしろ、毎回楽しみです。

なお、今日のマーチンD42の音色、最高でした。

  (ちなみに、お持ちであるベルナベは売ろうかと

   思っているとのことでしたが、1本クラシックギター

   持っておいた方がよい、という意見に、自分は1票です。)

 

・自分 横浜市(N) ジェームス(パットメセニー)、3views of a secret(ジャコパス)、なのみ通り(オリジナル)

今回は、むかしむかし、学生時代に好きだったジャズ関係から2曲と、

そういう曲をイメージして作ったオリジナル1曲。

自分としては、まあ、こんなものかな、という演奏だったが、

それにしても、1音1音の丁寧さが、このクラスタのステージではだせない。

頭の中では、きれいになっていて、自宅でも、

鳴らせているのに、ここでは、「鳴らない音」が随所に入ってしまい、

弾き乍ら聴いていて、「雑な演奏」になってしまっているなと自覚してしまう。

「そう思うのなら、しっかり弾かないと」

と思うのだが、頭の方は、そういう弾き方を注意する方に

意識が行くと、音楽の勢いというか、曲の感じが無くなってしまう感じになり、

ちょっと雑になろうが、頭の中では「歌うこと」に集中しよう、

みたいな、葛藤が生じている。

結局、「基本練習ができていない、わかっていない」

ということなのだろう。

しかし、それを直す第一歩は、MLBの大谷選手にTシャツに

書いてあった通り、「自分が下手だと気づくこと」

だと思うので、それをハイライトして注意していって、

ちょっとずつでも改善していこうと思う。

ただし、人は、「自分の見たくないものは見ない・見えない」というのも

真理と思うので、それを見続けて、意識し続けていけるか、

がポイントと思う。

また来月に向けて、頑張っていこう。

 

・HG箭田さん 国分寺市(N) 前奏曲4番(ヴィラロボス)、リオプラテンセスの3つの小品(M.D.プホール)

上述のとおり、自分って雑だよな、

と思ったところで、箭田さんの演奏を聴いて、一段と

基本の大切さというか、「1音の音出しのきれいさ、確かさ」で

上手い方は、違うレベルにある、と思ってしまった。

また、普段から音量、音質のコントロールを自分の

音をフィードバックして調整しているところから、

しっかりなされていることを感じる演奏。毎回聴いて、毎回

そういうことを感じてしまう。

 

次に演奏の感想だが、曲としては、2曲目がすごく良かった。

MDプホールという方は、「ピアソラをリスペクトしている方」

とのことで、本当にそういう曲。

タンゴの切れ切れの感じと、そういう部分を

リリースするような、やわらかい部分が絶妙にバランスしていて

そういう表現を余すところなく引き込んでいる演奏。

聴いていて楽しかった。

こういう曲を、こういう風に演奏できたら、

本当に楽しいだろうなあ、と思ってしまう。

すばらし演奏でした。

 

レフティ山下さん(S) 安里屋ユンタ、セントパトリックカテドラル、イエスタデイ

めずらしく、1曲目の1回目の演奏は途中で玉砕。

いわゆる「真っ白になる」との状態になったようで、完全に

ストップしてしまった。

再度、最初からスタートで、2回目はなんとか完走。

で、MCでおっしゃっていたのが、

「D6チューニングは苦手」、「指板をみたときの景色が違って見える」

とのこと。

この1曲目は中川イサトさんのアレンジで、D6チューニングは

イサトさんが一番使うチューニング。

しかし、チューニングには、向き不向きというのが、あるのであろう。

ちなみに自分もオープンチューニングにハマりまくった時期も

あったが、そういう時、苦手のチューニングを

使いこなそうとして、そのチューニングを集中練習すると、

他のチューニングがうまく弾けなくなる状況があったな、と思い出した。

「違うチューニングは違う楽器として取り組むもの」

なのだろう。

 

演奏の方は、ピックアップを外付けしたマーチンのD28

にて、PAを使っての演奏であったが、音がすごくよかった。

この「音がよかった」、は、音に変な色付けがなく

素直な音色で、PAを通していながら、PAの感じがなく、

生音がそのまま大きくなったような良さ。

なかなかこのピックアップを付けたマーチンの出番がない、

とのことだが、山下さんは、ピッキングが弱めに感じるときが

あるが、そういうことを全く感じない演奏になるので、

このギターもとても山下さんにあっていると思う。いい音でした。

 

・コレクター木村さん 狭山市(S) IRISH LANDSCAPES(ピーターフィンガー)、FANESCA(同)

よかった。このところ、ずっと継続している、

ピーターフィンガー氏の曲の演奏だが、毎回進歩している。

まず1曲目。スローな曲であったが、

音を伸ばして、余韻を響かせるところまで、すばらしくきれい。

 

ここ何回か、というか自分が聴いてきた木村さんの

演奏の中でもベストの演奏の1つだと思う。

で、そう思った理由の1つはギターの音色の良さもある。

今回のギターは、ダンマッサー氏製作のものだが、

がっちりと重い作りで、フラットトップギターみたいな

音色が入っていて、その点が好きな点のギターだったのだが、

その感じが薄れて、鳴りがよくなっている。

木村さんは、「音が開いた」と表現されるが、まさにそんな感じで、

残響音がすごくきれい。

自分は、「コーラスが入ったような」といってしまうのだが、

木村さんは「ナチュラルリバーブ」とおっしゃっていて、

木村さんの表現が、このギターには合っているなと思うが、とにかく

音色が素晴らしかった。(後で、もう1回言及あり)

 

次のFANESCAもすばらしい演奏。

「何か月か、毎日弾き続けており、

  やっと、あとここが直すべきポイントだな

    といった状況にまできた」

とのMCがあったが、本当にそんな感じ。

特にリズムに乗れている演奏になったことで、

一段と曲の難しさ、おもしろさがわかるというか感じられる

演奏になった。すばらしい。

リズムが難しいのだが、そのリズムの中で、フレーズの

塊がきちんと表現されている、というか、息継ぎ場所が

わかっている、というか、こういうところができるのが、

曲をモノにする、ということなのだろう。

 

それにしても、木村さんの毎回の進歩に感嘆したのだが、

その状況と、

「曲を仕上げていくのに、後はここ、というのが

  わかるところまで来た」

というものいい聞いて、なにか一度聞いたことがあるような、と思った。

 

で、帰りの車のなかで、思い出したのが、

あのマサキさん(長くクラスタに来られている方は多分ご存知)が、

毎月、すごいペースで新しい曲をモノにされていたとき、

「あともうちょっと。もう少しあそこを改善すれば」

とおっしゃっていたこと。

 

同じ感覚なのだろうな、と思う。

 

演奏技術が上がるときっていうのは、

そういう感じで、追い込んで仕上げていくものなのかな、と思う。

自分も、こういう感覚を持って、かつ、

その追い込み部でどこまでいけるか、が曲の完成度になり、

自分の技術力の向上になるのだろう。

 

以上、木村さんの演奏最高でした。

次回も期待しています。

 

フリーコンサート終了後。

20時までなので、短い時間なるも、ちょっとだけ、

豊嶋さんのギターと、木村さんのギターを

弾かせて頂いた。

豊嶋さんのメリル(マーチン系)は、持った瞬間、

「軽い」と思う。

なお、豊嶋さん曰く、

「購入した時の、音色で気に入っていた部分がちょっとでなくなっている」、

とのこと。

豊嶋さんのギターは、ギター自体がすごく軽く、

弦長も633㎜で弦のテンションも低い。

これが弾きやすさとしても、音の柔らかさとして

特徴になっていて、その点は変わらず、かつ、

音色の方も、それほど違いは感じられなかったが、

豊嶋さんの音色に対する「ちょっと違っている」との

感覚が気になる。

次回また、この点がかわったか、聞いてみたい。

 

木村さんのギターは、豊嶋さんのギターとは

全く違って、持った瞬間ずっしりと感じる。

で、木村さんのレポートのところで記載したが、音の残響がすごくきれい。

木村さんは3段階くらい音がよくなった、とおっしゃっていたが、

本当にそう思う。

自分は、以前から、このギターがいい、と言ってきているが、

ひさしぶりに、「こういうギターを購入したい」

との思いが生じた。

ただし・・・・・・

この鳴り方は、売っているときに出会うのは

まずないと思う。

すなわち、「弾きこんだことで鳴る音」。

そうなるはず、と思いギターを購入するのは、

最高に楽しい瞬間だとは思うが、

自分は鳴っているギターを楽しむのは好きだが、

「これは将来ぜったいになる」と予測は難しい。

木村さんは、これがわかるというが・・・・

 

以上、今回も大変楽しかったです。

今回思ったのは、このクラスタフリーコンサートでの演奏は、

大変貴重な演奏技術向上の機会である、ということ。

もちろん、自分が弾くことがまずもって有効だが、

加えて、他の方の取り組みとかが大変勉強になる。

また来月も楽しみにしております。

よろしくお願いします。