芸術って必要? 

音楽でも美術でも、芸術一般について、まずもっての一番シンプルな問いかけは、
「芸術って必要なの?」
というものだろう。自分も自問自答するときがある。それと同時に、
「こんなに楽しいんだったら、これを職業にできないかな」
ということが、その問いかけの続きの問いかけとしてでてくる。 
音楽好きで、多少なりとも演奏する方なら、誰しも一度は考えたことがあるのではなかろうか。しかし、芸術で生計を立てていくのが容易でないことは、普通に考えれば想像がつく。音楽や絵みたいな芸術というのは、仮になくても「とりあえず生活していく」という観点からすると、誰も困らない。農業を始めとする、人間生活になくてはならないことが明々白々な職業に比べると、芸術関係というのは、ぜったい必要というものではないようにみえる。
「いや、そんなことはない。椅子ひとつ作るにも、芸術的センスが必要なのだ」
という意見がありそうだが、座りやすい椅子は人間工学の所掌であって、芸術だと「座れない椅子」も許容範囲としてしまう。
本当に芸術というのは、必要なのだろうか?