選挙制度を考える

今回の選挙で、自民が大勝、民主が大敗した。
しかし、実感として、数字ほどの大きな差が
この2つの党の間にあるとは思わない。


そして、この「1党大勝」の傾向は
過去3回の選挙で続いている。


このような結果になった1つの原因は、
いろいろなところで言われているように、
小選挙区制にあるのだろうな、と自分も思う。


ちょっと考えると合点がいく。


小選挙区制すなわち「1選挙区1名」ということは、
1票差でもいいから、1位になった候補者が勝つ、
ということ。
たとえば、1位が10万人の場所で、30%、すなわち、3万人で1位
となれば、2位が2万9千人であっても、当選しない。
「わずかな風の違い」が、イチゼロの判定となり
党としての大きな勝敗の差になっていく。


「わずかな差でも、きっちり差をつけていきましょう」
というコンセプトの選挙制度なのだ。


しかし、自分の個人的な意見で言うが、
よくない制度と思う。


このような選挙制度だと、
「わかりやすくて、甘いことを言ったもの勝ち」
になりやすい。
「本当にやらねばならないことを説く」
ということは、痛みを伴うことを
言わねばならないので、それを
本当だな、とわかってくれる人が
マジョリティとはなりにくい。


そんな正論を説いている隣で、
「痛みがなく、かっこいいことばかりいっている候補」
がいて、
「あんまり考えていない有権者がなびいていくさま」
を感じてしまう、というような状況になれば、
「これでは1位になれない・・・落ちる」
となって、
「俺も、甘いことを言わねば」
ということになってしまうのではと思う。
ごく自然に。


結果的に、
「一番有権者を甘えさせてくれる候補者が選ばれる」
ということだ。


結果として、一瞬、良い方向に向かったように
見えるかもしれないが、長い目でみて
「甘いこと」をしていては、
よくならないことが多い。


つまり、この制度でよい結果を得るには、
厳しいことでも、全体にとって一番いい、という意見を
全員が真剣に考えるような国に、日本がなれればよい、
ということだ。
難しい気がする。


なので、長い目でみると、逆の最悪の選択になっていってしまうのでは
なかろうか・・・と心配だ。
(つまり、甘さばかりを追い求めるということ)


じゃあ、なんでこのような選挙制度になったのか、
を考えてみる。
あえて、悪い制度にしようと思って採用する人はいない。


「複数の当選者がでる選挙区で、当選するためには・・・」
と考えると、とにかく、
「利権固定票で、固めまくる」
となるのだろう。
とにかく3位になればいい、となれば、固定票がものをいう。
すなわち、べたべたの利権政治が一番強そうだ。
結果として、まったく代わり映えのしない選挙結果が続く。


これをなんとかしたい、と思って、
小選挙区制採用へ。


ということと理解するので、
「べたべたの利権政治に戻ってはいけない」
ということになる。



以上を考えてみて、
では、どんな選挙制度がいいのだろう、
と考えてみる。


自分は、危うさという意味では、小選挙区制の方が、
危なそうに感じる。。
「多数決の1番が、いつも一番いい意見とは限らない」
「一番甘えさえてくれる選択を、制度として作っている」
ということと理解するため。


たとえば、ずっと甘えさせる政治判断を選び続けてきた例というが
現在のギリシアだと自分は思う。


本当にまともな意見というのは、全体の2割の方くらいの
意見となってでてくる、というのが、よく言われること。
1番大きな意見は、
「とにかく、甘えさせてくれ」
といったものになりがちだ。


それを防ぐためには、「対案」が
示されなければならない。
そして、その対案は、1つではなく、
2つほしい。
1つだけの対案というのは、「単純に反対」
ということになりやすい。
反対でも、もう一つ、違う反対があれば、
「中身の吟味」がなされやすいと思う。
また、上述のように、一番甘えさせてくれる意見では
ない、まっとうな意見をいっても、
当選できる、という道は絶対残さねばならない。


ということで、自分としては、
「当選者が3人」
となるように、選挙区を区切っていくのが
よいのではと思う。
そう決めて、違憲にならないような
票比率と、当選者数のバランスで、
選挙を区切っていくのが一番いいと思う。


じゃあ、そうすると、以前の
「利権べたべたに舞い戻るのではないか」
という懸念が残ってしまうことになる。


ここについては、
「正論をきちんと表現できる選挙」
にしていくことができればよくなると思う。


具体的には、インターネットでの
選挙表現を可能にすればいいと思う。


現在は、インターネットでの考え表明も不可だ。
加えて言うと、「選挙カーから公約等の内容説明も不可」
という変な状況だ。(名前の連呼が、正当な選挙活動とのこと・・・)


「考えをしっかり、表現していく」
「書いたもの(残るもの)でできるだけ広くに」
ということなら、インターネットがぴったりだ。
「自分が正論と思うところを表現して戦う」
という環境ができるはず。


自分は日本の現状は、インフラ、プラス、国民の情報処理能力も、
それに十分対応できるレベルに来ていると思う。


以上、選挙とかを考えると、あんまり明るい気分にならないのだが、
できるだけ、前を向いた対応と・・・と思ってつづってみた。


いい日本になりますように。


<去年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20111219

<目に入ったニュース>

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