メロディー弾き

一番シンプルなアレンジというのは、ベース音にメロディーだけ、ということになろうか。ここから更に、ベース音までとってしまうと、単音のメロディーのみ弾き、つまり、単旋律をつまびくというものになる。自分はこの単旋律を爪弾くことを、あえて、意識して時間をとってやるようにしている。「あえて意識して」弾かねばならないのは、自分としては、あまりこれが楽しくないのだ。
サックスやハーモニカの音の方が、単音としてはずっと好きだ。ギターのような減衰音より、サックスのような連続音の方が人間の声に近いし、アーティキュレーションとしての表現も、いろいろあるように感じる。従い、ギターの単音弾きは、いまいち・・・と感じていた。
もちろん、これは自分の技術が未熟なのだ。わかっている。でも、ギターは折角コードが弾けるのだし、なにしろ一人で弾いていて楽しいのは圧倒的に単音より、ソロとして成り立った曲を練習した方が面白い。以上の考えから、殆ど単音弾きはやっていなかったし、やろうと思えば、意識してやる必要がある。2005年くらいから、意識して単音弾きをするようにした。
なぜ、単音弾きをするようにしたのか。
単音弾きではある曲のメロディーを弾く事もあるし、鼻歌を弾く事もあるのだが、考えてみると、サックスやハーモニカ、リコーダー、バイオリンなど殆どの楽器は単音だ。そして、そういった人も夢中になって楽器を楽しんでいる。だから、「単音でも表現ができるようになれば、十分楽しめるに違いない」と、そう思った。ではそういう単音で楽しんでいる人がギターでは少ないのだから、「ギターの単音は表現力は小さいのだろうか?」と考えてみると、自分の答えは違った。
「いやそうではあるまい。表現できることを追いかけていないだけだ。また、ギターは複数の音を同時にだせてしまうから、そちらの方を優先してしまうのだ。ギターも単音の表現力もすばらしいものがある」そう思える。そして、意識して単音を弾き始めてみるといろいろ気づいた。単音でメロディー弾くだけでも、音の強弱、音の入り方、切り方、そういったところをちょっと変えるだけで、音楽として全く違って聴こえる。これもアレンジのひとつだ。しかも、楽譜に表れない、演奏者としてのアレンジだ。ギターソロだとメロディーと伴奏を一度に弾くのでなかなかこのメロディーまで神経を行き届かせるは自分ごときのレベルでは難儀なことなのだが、まずはシンプルなアレンジでいいのでこのことを追っていくべきということを感じている。
「単音弾きでメロディーを表現すること」アレンジの第一歩はこれなのかもしれない。

以上、アレンジ、編曲について綴ってみた。作曲と同じくらい、これも楽しい。