演奏技術を披露するだけなら、ある程度曲目を決めて、何年間もそればかり練習すれば、それなりの技術と完成度にはなろう。それらの曲を、ライブで演奏させてもらうということであれば、それなりにできそうだ。しかし、同じ曲をずっと練習することを自分は楽しめるだろうか。そして聴きにきてくれた人に楽しんでもらうえるだろうか。
自分は野球が好きなのだが、萩本欽一さん、欽ちゃんのチームが好きだ。アマチュアチームを作って頑張っているのがよくテレビでも出てくる。プロ野球みるのも楽しいが、欽ちゃん球団をみにいくのもそれに負けず劣らず楽しそうだ。まだ直接みにいったことはないのだが、欽ちゃんのこの球団での観客とのやりとり、選手の起用法、そういったコンセプト面が自分は好きだ。「技術を魅せること」だけに収まらない、「表現で魅せること」がそこにはある。楽しさがある。
自分はギターの演奏技術の面では、例えば村治佳織さんには逆立ちしても敵わない。でもいっしょに楽しい時間を持つことは、けして技術だけではないというのを、欽ちゃん球団は教えてくれる。
欽ちゃん球団が分かりやすい例だったのであげたが、身近にこのことをいつも感じさせてくれるのがクラスタのフリーコンサートだ。アマチュアの方の演奏を聴いていると、単純な技術とは違った「その人の人となり」を聴いている自分に気がつく。技術的にはたいしたことがなくとも、心に響く演奏というのはある。演奏だけでなく、MC、間の取り方、立ち振る舞いなど、いろんなところからでも、その人の美しさを感じることがある。これらは、演奏に対してのその方の取組、コンセプトみたいなものが表出されているのだ。そしてこの表出されるものが、いつでも高いレベルでキープされている人がスターなのだろう。そしてそのことを自分の意識下にでき、自分自身を演出している方がアーティストなのだろう。
この意味で自分自身に納得できる演奏ができるようになりたい。だからこの夢はぼんやり描いているものではない。今実際に具体的な計画を立て、じっくりと実現に向けて歩を進めている夢なのだ。