スチール弦のよさ

スチール弦のよさとは? を考えてみる。
1つは、ストロークの美しさ。自分はソロギターが好きで主に指弾きであり、あまりストロークはやらないが、ポップスなんかでは、ゾクゾクくるくらい気持ちのよいスチール弦ギターのストロークを聴くと、やっぱりいいなあと思ってしまう。
自分が思い出す音ではイーグルスとか最高。(古いか・・・)日本では、自分の世代ではアリスとか(これも古い?・・・)のストローク(これは石川鷹彦氏もあると思うが)が力強さや爽やかさを感じる。
指弾きで「これがスチール弦のいい音のサンプルだ!」というのは、自分にはあまりにたくさんありすぎる。ジェームステイラーの音も最高だし、マイケルヘッジスのエアリアルバンダリースを最初に聴いた瞬間のことはいまだに忘れることができない。日本では、もちろん中川イサト氏の音はどれも大好きだし、古くは、若き日のさだまさしのアルバムの音もいい味だしている。
こういった「いい音」を思い出してみると、スチール弦のよさというのは、1つは、高音に伸びるきらきら感、そしてもう一つは、迫力のある低音かなと思う。
ただ、自分個人の趣味としては、実は高音と低音だけが強調された、いわゆる「ドンシャリの音」は好きでない。中域がすかすかに感じてしまうとだめなのだ。
しかし、この点は、弦の性質というより、ギター本体の問題だろう。
弦としては、簡単にいうと、倍音がどれくらいでるか? ということで、聞き分けていけば、(もっと単純に言うと、「きらきら感を どれくらいもっているか」)で弦の好みを決めていけれると思う。
ただ、ちょっと難しいのが、このきらきら感というのは時間と共に、どんどん失われていくのだ。だから、プロの方は、毎日弦を変える方が少なくないと聞く。(曲ごとに変えるというインタビュー記事を読むこともある)
もちろん、まったく逆でこのきらきら感が余り好きでなく、少し使い込んだ方が好きというプロもいる。
日本ではスタジオギタリストとして著名な吉川忠英氏がそうらしい。録音時におけるマイクやピックアップでは高音域をカットするとのこと。また、パットメセニーも同じような趣向のようで、DIで高音を絞り込むようにするという。またウィリアムアッカーマンは、「弦が伸びきっていない感じ」が嫌いとのことで、弦を張り替えたら、それを伸ばしきる為に、弦をもって振り回すみたいなことを書いてある記事を読んだことがある。(ほんとか?! 危ないぞ、と思った)こういった人は、ミッドがしっかりした腰のある音と言うか、芯のある音を出すギターが好きなのだろう。また音楽的に、テンションコードを使うことが多かったりして、あまりに倍音が多いと音のにごりが感じられてしまい使いにくいのかもしれない。
ちなみに、自分もきらきら感があまりに強いのが苦手なタイプなのだ。こういった音で長時間聴くと、きつさというか、飽きというか、ゆったりできない感じを感じてしまう。でも、そういいながら、そはりスチール弦の魅力としては、シャリーンという高音域の倍音の美しさと、マーチンのドレッドノートなどで代表される低音の迫力ということもわかっている。 
やっぱり、弦を張り替えたばかりの高音域の倍音は美しい。