同じ曲を弾く 

自分みたいに毎回違う曲を弾く方とは違って、「同じ曲の毎回弾いて、完成度を上げていくことにチャレンジしている」というスタイルの方もたくさんいる。というか、むしろこちらの方が多数派だろう。自分のように。毎月違う曲を弾いていては、一曲を磨き上げるようなことは難しいし、自分でも思うが、そのうち限界はくるだろう。つまり、いつかは”ネタ切れ”になる。
友達のギタリスト(兼三味線弾き)がインターネットの日記で、
「このごろネタ切れ・・」
と書いていた。同じステージに結構な頻度で出演したため、ネタに尽きたと。それを読んだとき、(自分のことは棚に上げておいて)同じ曲を繰り返しても、全く問題になどしなくて、いいのではないかと思った。
散歩が趣味という人がいる。毎日、同じ時間に同じ場所を歩くことを習慣としていて、それを楽しんでいる。犬なんかを連れている方などは、とても楽しそうにみえる。
「毎日同じことして、楽しいですか?」
ときけば、
「もちろん!!同じ道でも、毎日違うから!」
という答えが返ってくるだろう。演奏も同じと思う。
「同じ曲何回弾いたっていい。同じ曲だって、厳密に同じ演奏なんて ありえないんだからさ」
そう思うのだ。散歩は毎日同じところを歩く。でも毎日違う。あるときは道端に咲いている花に心を癒されたり、またあるときは気温の暑さ、寒さにまいることもあろう。誰か知人と会うかもしれない。体調の違いを感じることもあるかもしれない。同じ道を歩いていても、厳密には同じ日はありえない。毎日の散歩が趣味の人はその違いを楽しめる方だ。演奏も同じだ。毎回違う。それらを楽しむことは、十分楽しいと思う。