何を弾くか

クラスタフリーコンサートで、最初半年くらい、自分は主にオリジナル曲を演奏した。
「せっかく人前で演奏するのだから、一番自分らしいものを演奏したい」
という考えがあった。
しかし・・・受けなかった。
実際にやってみて思ったことだが、オリジナルだけだと、自分の演奏技術、楽曲の程度では、聴いている方はつらいかもしれないなと反省した。
それから方向転換した。オリジナルでなく、みんなが知っている曲をやることにした。そして、毎回テーマを変えて違う曲をやることにしてみた。
やってみてまず感じたのは、よく知られた曲はある程度受けるということ。自分が観客として聴くときは、その方のオリジナル曲を聴くのが好きなのだが、「聴きやすさ」については、やはり「知っている曲」の方が聴きやすい。有名曲、スタンダード曲のメロディーはやはりいいものだ。加えて、有名曲を美しく弾くことにチャレンジするのは、自分の曲を見つめなおすために、また、技術的な鍛錬のために、プラスになる。
それと同時に思ったのは、この毎回違う曲を弾くということは、今現在(2006年に書いている)だからできることだろう。昨今はソロギターの譜面(自分にとってはTAB譜)が本当にたくさんでている。クラスタのフリーコンサートの一回の演奏時間は15分。従い、3〜4曲ができるのだが、楽譜は山ほどでてるので、それらを利用すれば、「ネタはしばらく尽きない」といっていいだろう。
テーマについては、「女性ボーカル曲」とか、「映画で使われた曲」、「クリスマスにまつわる曲」などといった感じだ。その時々、自分の気持ちにぴったりくるのを探すのは楽しい。

さて、これらのテーマは「選曲にあたってのテーマ」であるが、実は、裏テーマも自分でつくっている。裏テーマの方は「何故自分はその曲を弾きたいと思ったか?」、「どんな技術をハイライトするか?」といった表現や技術上の課題の観点で決めている。

ある日のクラスタフリーコンサートのテーマは、
表テーマ:「スチール弦オープンチューニングスタイルの曲」
ということで、スチール弦で演奏し、
裏テーマ:「フィンガーピック使って、ピッキングの強弱をできるだけつけてみよう」
とした。

またあるときは、
表テーマ:「チャップリンの(作曲した)曲」
裏テーマ:「ルバートの曲にできるだけ感情を込める」
だったりしている。

他にも
表テーマ:「古賀メロディー」
裏テーマ:「自分の日本人としての感情表現を自分自身で確認する」
等など、本当に様々。

そうしているうちに一番大事なことはわかった。「自分自身が楽しんで、新鮮さを失わないこと」だ。
これから先、当然ながら、ずっと違う曲を弾いていくことなど不可能だろうが、でも可能な範囲でやるとしても、自分としてはこの、どんどん違う曲をやるというやり方が性にあっているような気がしている。