1曲聴き

iPODとかの携帯音響機器の
曲の収録容量は本当に驚くべきものがある。
手のひらに軽くのるサイズのなかに、
何千曲ものデータを入れることが可能だ。
自分は、ソニーウォークマンブランドの
ものを使っているが、これは1Mだが、
数十枚のCDが入っている。


これを使って、毎朝晩の通勤の車のなか
で音楽を聴くのが自分の楽しみの
時間となっている。
なにを聴くかの選択も上記のように
たくさんのCDのなかから、そのとき選べるし、
また、シャッフルモードも使えるので、
とても便利に感じている。


こういう状況なのだが、
この一週間、全く違う音楽の
聴き方をしてみている。
というのは、同じ曲を延々と繰り返し
聴いているのだ。


ほんの数年前まで、
音楽はCD単位で聴いていて、
その切替は1週間とか、長いときは
数週間続けて聴いていた。
しかし現在、携帯音楽再生機を
入手してからは、ほとんど1回聴いたら、
次は違う曲に切り換えている。
その方が飽きがこないし、
現状、せっかく機能のよい、容量の大きい
機器がいかせるというものだ、とも
思えている。


だったのだが、
先日、テレビでイチローの特集等を
みていて、思うところがあった。


イチローは、毎日同じ動作、段取りを
とることにこだわりまくっていて、
昼食は7年間カレーとか、すごいことを
言われていた。
そのなかで、テレビについても、
『「白い巨塔」をすでに30回以上みている』
ということをいっていた。


同じことを繰り返すことでしか、
得られないもの、境地みたいなものが
あるのかもしれない・・・・


そう思った。
例のイチローのテレビでは、ホストを
脳科学者の茂木氏がやっているのだが、
「脳は有意識より無意識領域の方が大きく、
 そこをコントロールするのは、動作、所作を
 一定にするのは、とても意味深いこと」
みたいなことをいっていた。


別な本では以下のようなことも読んだ。


脳の中にはミラーニューロンというのがあって、
「目にした動作」
はあたかも自分もそのように動いているように
体のなかの神経に信号を送る。だから、
「上手な動作を繰り返し見ること」
というのは、立派な練習といっていいとのこと。


ということは、
イチローのように、繰り返し繰り返し・・・
というのは、何らか「技を磨く」
上で意味のあることなのではなかろうか。


武道の技も「基本動作」というのを
いやと言うほど繰り返すし。


「繰り返す」ということで、
意識的、無意識的にも最高のパフォーマンスを
得る為のなにか、
が鍛えられるのかもしれない。



自分も高校で野球をやっていたが、
うまくバッティングができたときは、
「自分のリズムにピッチャーをひきづりこんだ」
というような感覚がある。


イチローのバッティングをみていると、
構えのところから、本当に一定の動作があって、
その後、ボールの方がかってにバットに
あたっていくみたいな感覚まである。
自分の記憶では、王選手とか落合選手も
同じように「吸い込まれるように」
という感じをもってみていた。


こういうのは、なんらか、
「相手の呼吸をあたかも自分の呼吸みたいに」
というか、
「ピッチャーとバッターで非常に美しくタイミング
 をとってつくった作品のように」
みたいな表現をしてみたくなるのだが、
それは、上記のミラーニューロンのようなもので、
相手までをもコントロールしてしまうような
術(すべ)があるのではと思ってしまう。


以上なことを考えていたのだが、
では、
ということで、音楽ではどうだろう。と思ったのだ。


同じ曲を繰り返し繰り返し聞く。
そのなかでしか見えてこないもの、気付くもの、
また、自分のギター演奏に反映されるもの、
そんなものがあるのではなかろうか。


じゃあ、ということで、
今週月曜日から、とあるジャズの1曲なのだが、
これを延々と流している。


もちろん選ぶにあたっては
・すごく好きな曲で、好きな演奏であること
・そのうちアレンジしてみたいなあ思う曲であること
・アドリブが入っていること(決まりきった構成の曲ではないこと)
ということで選んでみた。


今日で既に4日目。


いろいろ面白いことが起きている。


曲をイメージすると、自然と
音楽が頭に流れるようになった。
これは好きな音楽で、回数を聞けばこれまでも
そうなっている。


加えて、なのだが、


曲を聴いていて、あたかも自分が
弾いているような気分になるときがある。
これは聴きながら、次の展開が一瞬先取りして
聴こえるような感覚になるため。


・・・・この感覚はジャズ演奏には
非常に重要なものなのでは・・・・
そんなことを思う。


自分のソロギターでやってみると、
当然ながら、聴いているのは
サックスがメインのバンド演奏なので、
とてもそのようには弾けないが、
「自分が気に入った感じ」
を必死で追えるようになった。
いつもは自分が弾き出した瞬間、
「自分の音」しか聴けなくなり、
CDからの音を忘れてしまうと言うか、
聴こえなくなってしまうのだが、
これらが、同時に聴こえるようになってきた。
(これは、自分で弾けるようにしたいという
 気持ちで集中して聴いている等ことも
 理由として大きいとは思うが)



実は、
「飽きるほど繰り返し聴く」
というのは、ものすごーーーーーーく
重要な練習の一つなのかもしれない。
実際クラシックのプロの演奏家
日常としてやっていることと思うし。
(但し、聴くのは音源ではなく、
 自分の演奏かもしれないが)


あと2日で通勤5日間ずっと同じ曲を
聴きつづけたことになる。
続けてみようと思う。
そして、
その曲のアレンジを土日にチャレンジしてみよう。
どのようになるだろうか。



<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070123
<ギター趣味人>
http://guitar-shumijin.g.hatena.ne.jp/y1kirihara/20080427
<目に入ったニュース>
あとで・・・。


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