美術館の楽しさ

美術館ってなにが楽しいのだろう。今どこの家にもテレビがあるし、またDVD(ビデオとかも含めて)とかで映像を楽しむことは、本当に小さいコストでできるようになった。
それなら、美術館なんか、なくてもいいかな・・・なんてことも思ってしまう。
でも、実際にいってみると、大体入場料は500円から1000円くらい払うのだが「きてよかった! また来たいな」そう思うときがほとんどだ。自分としては、美術館は音楽でいうライブと一緒なのだ。
本当の実物の作品の前に立つ。美術館に入るだけのものであるから、いずれもその「美術館に入るだけの迫力」を有している。あるものは、構図のかっこよさだったり、あるものは、色使いの絶妙さだったり、もちろん、それらがすべて合わさってのよさなのだが。そして、生でみることの楽しさは、近くでみることができるので、「筆使い」といったところまでみれることだ。
昨年みたのでは、ムンク葛飾北斎とかは、この筆遣いの勢い、というか、リズムというか、それがなんとも心地よかった。ムンクはそう思った絵のポストカードを購入したのだが、残念ながらそのような筆遣いまではとても見えるわけがなく、自分が心地よく思った「筆致」については、残念ながらみれない。こういったものはやはり実物でみないと感じ得ないものだ。
また、一つ一つの絵だけでなく、絵を次、次とみていくその流れ自体も楽しい。それは、展覧会を企画するキュレータの方の腕によるところと思うが、これも本当に音楽でいうところの交響曲を聴いているような気分になるときがある。悲しいもの、力づけてくれるもの、いろんなものをゆっくりと楽しみながら歩を進めていくのは本当に楽しい。
よく芸術家というのは、画家と音楽家が深い交友を持っているが、わかる気がする。

以上のような楽しみを味わって、このごろ自分も美術からもいろいろ感性を刺激してもらって自分の音楽の趣味に深みをいただきたいなあ、なんてことを思うようになった。