7-4  大量生産品と手工品

前節で書いたとおり、自分はギターの試奏が大好きであり、時々御茶ノ水をはじめとする楽器店に出没していろいろなギターを弾かせていただいたりするのだが、手工品のスチール弦で数十万円以上、時には100万以上のものを弾かせて頂いたこともある。そして「確かに違う!!」と納得した経験がある。(ナイロン弦のクラシックギターは違う世界があるので、あくまでスチール弦の話であるが・・・)職人さんの手作りはやはりいい、と納得するわけだ。
一方1万円くらいのジャンクギターは別として、3万円くらいから10万円くらいのアコースティックギターも試奏する。こちらの質も近年どんどんよくなってるいるなと感じる。普段ギター弾いていない人に音のブラインドテスト(目隠しテスト)をやったら、価格とは違った評価がなされるかもしれない。
安い理由は、工場が人工費の安い海外にあるからだろう。そして設計はおそらく「最高の音がする1本のギター(設計手本)」を基にして、それに「強度上、壊れないような構造に設計しなおし」て作られていることと思う。
手工品ギターは1本1本、木の選定、タッピングや精密測定によるデータを生かした設計などを、製作家が「ベストな状況」を探りながら製作しているのだろうが、大量生産品ではとてもそんなことはできない。それでは値段は下がらない。だから、大量生産のギターは木の材質の違いを確認していないのだから、カタログ上の型番がいっしょで見た目は同じでも、弾いてみると音が違う。これは価格を下げる為には仕方のないことだ。
しかし、こういった品質のばらつきということが、試奏好きの自分にとってはこれはこれでまた面白い。たまたま「手本にした最高のギター」と同じ性能のギターができてしまっているかもしれない。事実、量生産品の中で、極たまにであるが「すごくいい」ものがあったりする。本当に「安くて音がいい」ギターというやつだ。同じギターでも所詮木でできているので、材料と設計がたまたまグッドマッチングしてしまったという「偶然の産物」なのだろうが、しかしそういうのがでるってことは、逆に製品としてすごく悪いのもでる確率もあるということでもある。安くていいものを見つけるには、なんでもそうなのだろうが、最後は自分の耳、自分の判断となる。