「思考する物語」読了。

「思考する物語」SFの原理・歴史・主題
森下一仁 2000年1月 著
読了。


ふと、図書館で手にした本。
昔は、SFにはまった時期があったなあ・・・
と懐かしく思い、借りてみた。


SFの本ではなくて「SFって何ぞや」
ということを書いた本。
この著者は、本当にSFが好きなのだな、
というのが伝わってくる本だった。


で、SFってなんだ?ということを
この著者の言葉でいうと、
「センスオブワンダー」
を感じさせてくれる本、とのこと。


驚きをもって、自分が一皮むけるというか、
思考がひとつ深まる経験をさせてくれる本。


確かに、むかし、中学生のころだったろうか、
自分がSFにはまったときも、わくわくするような
読書感をもったことを覚えている。
いまでも、読めば楽しめるだろうか・・・・。

でも、この本は、面白かったか?
というと、それほどでもなかった。
というのが正直なところ。
この著者ほどは、自分はSFにはまっては
いないということだろう。


しかし、それでも最後まで読んでしまったのは、
「SFにはまるのも、音楽にはまるのも、いっしょ」

途中で感じてしまったから。


センスオブワンダー、驚きを覚えて、
ひとつ違う世界をみるような感覚・・・・
って、芸術から得られる感覚と
同じだ。
そして、まさにその「なにか」によって
人は生きていけるのだ、
感覚も自分と同じであると感じてしまったから。


著者がその「なにか」である
「物語」について記した、心に残った本のなかの一節を
抜粋しておこう。


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人間が物語を必要とすることは、
つまり、ありのままの現実と向き合って生きるのが
きわめて困難なことを示しているように思える。
想像力は、現実を超克するための、人間の武器なのだ。
それを使い、人間は未来に向かって現実を改変しようとしつづけてきた。
この結果、私たちの生きる”現実”は人間の想像力によって
大幅に歪められている。
シンボルを操ることを覚えた生き物−−−−人間が生きることとは、
こうして、物語と現実とが混交する時空を創造してゆくことになったと
いえるだろう。
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これが101ページ、第4章「想像力と物語」の最後のところに
書かれてあって、
そして、102ページからが、「神話について」
と続く。


自分には、この2つの章が一番面白ろかった。
上記の分の物語は、芸術であり、
自分としては、音楽と読み替えて、
まったく差し支えないように思えたのだ。



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