「雑多」を許容する国

今週は月曜火曜、そして木曜日と
出張だ。
いつものように出張中は読書が進む。


今週よんでいるのは、
「DNAでたどる日本人10万年の旅」粼谷満著


人間のDNAでは、
その構成上の特徴を調べることで、
自分の祖先の系統とかが
わかるようになったとのことで
以前、「5万年前」というのを読んで
すごく面白かったのだが、
本の題名から
その日本版みたいなものだろうと
思えたので、読んでみたもの。


「5万年前」は総括的な書き方であり
物語・読み物として面白く読めるものであったが、
こちらはデータ等をきちんと示そうという
こともあってか、それと比べると
ちょっと堅めの内容。


自分としては、細かなデータは
どうせ忘れてしまうので、
「総じて日本人ってどんなルーツなの」
ということのみ読み取れればよい、
を割り切って、
どんどん飛ばし読みした。


で、そういう「総じて言うと」
「日本人は、種種雑多な人種」
とのこと。


中国やロシアで戦い破れ、
その地では、DNA的に殲滅
されてしまった人種も、
日本では
どうやら生き延びていることが
できているらしい。


確かに
広い大地で生存競争すると
「完全に勝たないと生き残れない」
のかもしれないが、
日本であれば、
狩猟でも漁撈でも、
なにかしらできれば、
どんどん逃げていけそうだ。


そういうためだろうと
自分も思うが、結果として
昔ならったような、
縄文人弥生人」といった
2種類どころではなく
「世界にもまれに見る雑多さ」
だそうだ。


そのことは、自分としては、
なんとなくうれしい。


自分は、
「弱者は滅びる」
「世界は1つにまとまる方向にいく」
グローバリズム
等々の方向性が、なじまないなあ・・・
という感覚をもっているので、
日本人でよかったなあ・・・・
なんて思ってしまう。


先ほど地勢的な面での
日本の住みやすさみたいなところを
理由としてあげたが、
人間としても、
八百万の神」だし、
「敗者を祭る」だし、
「悪人でも、死人になれば、仏」だし。
という文化の面でも
やさしさを感じる。


だから、多くの種類のDNAが
残っているというのは、
きっといいことに違いない。


そして、
縄文人とかアイヌの文化では、
「環境との共存」
がライフスタイルとして、知恵として、
その文化に組み込まれていたとのこと。


狩猟をするとき、
「なにか1種のみを多くとってしまうと
 バランスがくずれ総じて自分の身も危なくなる」
との智慧が文化的にあるのだそうだ。
つまり、価値観として、
「継続性」というのを、掴んでいるということだ。
だから、すごく緻密に
自分の周りの環境を観察する文化だそうだ。


どんな考え方なのか、興味がある。


一人の人間が、個人的に
勉強、思索したような考えではなく、
人の集団として、ひとつの文化として
そのような智慧を持ちえていることが
すばらしい。
というか、今のご時勢、見習うべき
思想ではないかと思う。
その考え、文化の成り立ちの
一番根本の部分はなんなのだろうか。


自分は、アイヌ文化って、
「熊さんを大事にする文化もある」
ってくらいしかしらないような
状況なのだが、


そういったことが、学べる本とか
あるのだろうか。
インターネットとか、図書館で調べてみるか。


(もしこれ読んで、そんな本とか知っていて、
 教えてあげてもいいな
 という方がいたら、是非コメントください。)


<昨年の今日>
http://d.hatena.ne.jp/y1kirihara/20070827
<目に入ったニュース>
出張中。

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