自分のスタイル

買ったのはパイロットのキャップレス万年筆。自分は会社で使うので、ノートをとったりメモをとったり「ちょっと書く」ことが多い。つまり、「書いている途中で、しばらく筆が止まる」ということが多い。これは万年筆の使用には向かない。万年筆のキャップをつけたり外したりが頻繁になるのは、けっこう億劫に感じるものだ。例の、なくしてしまった万年筆は、あまりに頻繁に開閉をしたため、キャップの締めが甘くなってしまい、1度修理に出した。キャップレスでは、押し出し式のボールペンのようにペンのペン先が、反対側を押してやることででてくる。書かないときは、ワンプッシュで、ペン先をひっこめておけばいい。なので、今では外出先の移動中でも使っている。移動中での使用の場合、万年筆ではどうしても「キャップを外す」という動作が必要でこれが億劫だし、キャップを落としそうな気もして実行できずにいた。しかしキャップレス万年筆でこの懸念は完全に払拭され、「ボールペンのような感覚でかつ軽い筆致」という環境を外出先でも得ることが出来るようになった。
現在「いつでも、できるだけ書く」、「ONとOFFの切替をすばやく」書けている。そしてこれは、今の自分の仕事上の、コンセプトになっている。

以上のように、とても便利に使えているキャップレス万年筆だが、ひとつだけ満足でない点もある。
それはペンの重量バランス。このキャップレスは結構重いのだが、この重さ自体はあまり気にならない。むしろその自重で最適な筆圧が得られるような感覚が悪くない。ただ、重心が自分としてはちょっとペン先側過ぎの感がある。もう少しペン先と反対側に重心がきてくれるといい。場所で言えば重心がちょうど親指の付け根のペンを支えるところくらいになってくれると、その後ろ側の重さにより、筆圧が軽く感じる。その感覚が自分としては好きなのだ。しかしこれも過ぎるとだめで、例えばラミーのサファリは、自分としてはキャップをつけて使うと重心が後ろ側にきすぎてしまい使いづらい。(また、キャップを外すと、後ろ側が軽すぎとなってしまう。)安い万年筆では、ペリカンのジュニア向けのがバランスがちょうどよかった。ただこのペン先側に重心があるのは、持ち歩いて、立って使うようなシチュエーションでは持った右手の中に重心が入っていて、「落としにくい」感じがして使いやすい。従い、先にあげた、「メモを軽い筆致で」というニーズを満たしてくれる点において、至極満足している。つまり、このキャップレスペンは「速く、便利に」という自分のニーズにはベストマッチだ。しかし「美しく書きたいときに使う一本」にはいまのところなっていない。
これは、今現在の自分のギターの状況といっしょなのかもしれない。今ヤマハのサイレントギターを使っているが、夜でも弾くことが出来るし、軽いし、便利さということでは至極満足している。でも、生ギターで「自分の最も好みの音が出る1本」というものが欲しい、というのが今の自分の状況だ。
欲は尽きない。

ギターも万年筆も「自分にとっての究極の1本」というものにめぐり合いたいものだ。
ということで、次の章はそのギターについて書いていきたい。