コンピュータの進化;できることとやりたいこと 

画家は写真という技術を目の当たりにしたとき、どのようなことを思っただろう。
写真が無かった時代、目で見たものを見たとおりに紙の上に現すことを仕事としていた人がいたに違いない。そしてその人達の中には写真で職を失った方がいただろう。「目で見たものを、そのまま紙の上に書ける」というのはすばらしい才能だが、それだけでは飯は食べていけなくなったに違いない。
音楽についても、ある意味似たような状況になったと思う。現在は、やろうと思えば音色ひとつでも、倍音の構成から、リバーブやコーラスといった残響音みたいなものまで自由にアレンジできる。出音タイミングなども100分の1秒単位、つまり人間の聴覚で判別限界以上での調整まで可能となっている。また「サンプリングされた一流の音を組み合わせて自分の好きなように音楽を作る」という技術もずいぶん進歩している。つまり、やる気と時間さえあれば、なんでもできてしまいそうな感じに思える。(もちろん、加えて「才能」が必要であり、これが一番重要なのだが)