ピックアップ派

まずもってマイクの弱点は、当たり前のことだが、大きな音が必要な状況でハウリングに弱いということだ。この面では、ピックアップの方が有利だ。中川イサト氏がピックアップ派であるのは、
「ある程度の音の大きさがないと、自分の曲が自分のイメージどおりお客様に届かない気がする」
とのこと。この意見は、自分の経験からもよくわかる。「音が届いていない(すなわち小さい)のでは・・・」との疑念がわくと、ピッキングがどんどん強くなっていく。すると、楽曲の本来あるべき表現から離れてしまう。こんな事を気にしなくてよい状況にするためにピックアップは有効だ。 
音質の面でも、最近のピックアップや、DIはすごくよくなった。お陰で、場所に関係なく、ある程度の音質がだせる。更に、それを一歩先に進めて「自分の好きなアコースティックギターの音を加工する」ということも、可能となっている。但し、これは相当センスがよくないと逆効果になることもある。「過剰にエフェクティブな音作り」は音楽を台無しにしかねない。そして、音作りというのは面白いものであるゆえ、往々にしてこの状況にになりやすい。自分も経験した。最初は、エフェクターかけるのが楽しくていろいろやるのだが、そのうちなにがいい音なのかわからなくなった。「自分のギターの音を見失った」だ。
そうした後、やっぱり生音が一番だ!生音に近づけようと思い立った。そうして気がついた。実はそれが一番難しい・・・。以上、自分なりにだが、ピックアップ派の考えをまとめるとエフェクター処理した上での自分の音を確立する(納得できる音のレベルとする)ことができているか、もしくは、演奏場所の条件からの制約を逃れたいということを優先したとき、こっちがいいなと思う。