観客を意識することの影響は?

「観客がいるとどうしても、その観客たちを喜ばせようと思ってしまう。そうすると、簡単にいうと、”受け狙い”の音楽ばかりを追ってしまう。」
こんなことも時々耳にする。
これは受けることを追いすぎてしまって、芸術性が弱まることを懸念した言い方だ。 
でも考えてみると、受けねらいは、けして悪いことではなく、きちんと芸に高められていれば、
「すぐれたエンターテイメントを追っている」
ということだ。但し、外れるととてもしょぼい。たいした内容がなく
「ねえねえ、わかってよ。わかるでしょ!」
というのが強すぎるという、できるだけ避けたい態度になってしまう。
でも、技術的に(精神的にもか)未熟であれば、この状況にならざるをえない。
人前での演奏を経験してみるとわかるが、なにしろ受けるとうれしいのだ。自分は単純なので、この傾向が強いのはわかっているが、わかっていて、「本当に単純だな」といいたくなるくらい、自分はその傾向ありだ。誰かを喜ばせることをうれしいと感じるのは、普通の人であれば、共通だと思う。逆に受けないと悲しい。だから、下手するとすぐに、
「ねえねえわかってよ」
になってしまう・・・。常に自分を反省して、努力していないと、
『「お調子者」になりすぎ、その後若気の至りであったと自己嫌悪』
はもう許される歳ではないと思う。 

でも、こういう気持ちは誰もがもっているものという気もする。
だから、特にアマチュアでは、みんなが知っているスタンダード曲が演奏されることが多いのだろうとも思う。いっしょに心のなかで歌えることができれば、少なくとも独り善がりとなってしまうリスクは小さくなるだろう。