人前で弾くこと

まずは、クラスタの田中マスターによる、「人前で弾くことの勧め」ともいえるお言葉を紹介しよう。
これは、毎月第3日曜日にやっているフリーコンサートへの参加者を募る熱いメッセージだ。(注)
(注)フリーコンサートとは、「参加者15人が15分ずつ弾く」というもので、アマチュアのギター好きが集まる、発表会みたいなものだ。弾いて聴いて楽しめる。自分はこれに、どっぷりはまってしまっている。

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「ギター歴30年で人前ライブ歴ゼロ」の人より「ギター歴半年で人前ライブ歴10回」
の人の方が絶対上手いです。というか人前ライブ歴ゼロの人はギターをやっていないのと同じ!
他人に聞かせてなんぼです。 目標があると上達のスピードがすごく早くなりますよ! 
皆様のご参加お待ちしております。
//////////////////////////////// (田中マスター記)

「そんなことないだろう。まあ、分かりはするけど」
「ギター歴30年より、人前ライブ10回の方が上手いっていうのは、いいすぎだろう。」
と思われる方もいると思う。事実、自分がそう思った。でも、やはり「人前で弾く」をやるのとやらないのでは違う。なにがちがうのか? 自分の経験からであるが、一言でいうと、人前で弾くと、「よいところは一段とよく、そして悪いところは一段と悪く」なってでてくる。つまり、本当の自分というか、素の自分がでてくる。だから調子とか、気分のいい悪いというのはあるにしても、自分ってこういう実力なんだというのが、はっきりわかる。うまくなるのための第一歩は、「いまの自分を正確に知る」ということだとすると、人前で弾くと、うまくなりますよというマスターのお言葉は真理だ。

あと、もう一つマスターは言っている。
「人前で弾くと決めることでこそ、練習に身入る」
とのこと。これもそのとおりだと思う。
「何月何日どこどこで何分間のライブを聴いていただく」
と決めると、日々の練習に張り合いがでる。
「よし、じゃこの曲を弾こう。でも、ここのところが、こんなスピードだと、いまいちかな…」
などと、いろいろ本番のことを想像しながら(どきどきしながら)練習する。もし、人前で演奏するという目標がなければ、聴いているのは自分だけ。どんなに間違ったって、自分が許せば気持ちの良し悪しは別にして、それ以上でもそれ以下でもない。一方、人前で弾くとなれば、やはり聞き苦しい音楽にはしたくない。ということで、練習の質が変わる。

以上、マスターのお言葉を書いた。

自分は、この考え方にとても共感している。そしてちなみに、クラスタでは、フリーコンサートの上級編のステージも用意されている。クラスタのシステムはなかなか考えられているのだ。
どんなシステムかというと、クラスタのフリーコンサートで、自分の演奏の実力で15分間、人を楽しませることができるようになると、その上のステージとして「ショートライブ」というのがある。フリーコンサートでは15分だった演奏時間が、今度は30分となる。そして出演者は4人だ。
とてもうまくできていると思うのは、フリーコンサートは、基本的に出演者は、お客様を呼ばなくても大丈夫だ。自分のほかに14人の演奏者が、観客でもあるから、「演奏者しかおらず、観客が一人もいない」という、もっとも恐ろしいことは起こりようがない。
このフリーコンサートで、自分を鍛えて、自分の実力が「ある程度のお客様(友達でもいい)を呼べる」となったら、次のステージとして、ショートライブへ進めばいいのだ。ここでもお客様を呼べるようになったら、いよいよソロステージへと進めばいい。
単なる技術的腕前だけでなく、「人を呼べる」という技量がどれくらい自分にあるのかも自然とわかるだろう。うまい仕組みだと思う。
マスター、さすがです。